元全日本ジムカーナ選手権仕様の痛車ランエボX
三菱「ランサーエボリューションX」をベースに痛車仕様としてカスタムを楽しむ“むらエボ”さん。現在の仕様になる前は、走りに情熱を傾ける全日本ジムカーナ選手権参戦車両として大活躍。その順位はつねに上位入賞という実力派マシンでした。そんな愛車を入手した経緯とカスタムメニューとは……?
憧れの1台を激安価格でゲット
現在は痛車仕様となっている三菱「ランサーエボリューションX」だが、以前、全日本ジムカーナ選手権に参戦していたのはじつは現オーナーの“むらエボ”さんではなく、愛車のメンテナンスをお願いしているチューニングショップのメカニックさんだった。その速さを見て憧れていたので、このクルマについてはよく知っていたのだ。
そんなある日、自宅そばの中古車屋の前に見慣れたエボXが置かれていた。よく見れば、そのクルマは間違いなくあのチューニングショップ所属の全日本ジムカーナ選手権参戦車両だった。詳しく話を聞くと、事故車として買い取って、現在はエンジンもダメになっている不動車とのこと。だから、もしこのクルマを購入したいのなら、価格はこれくらいで良いと言われて提示された額がありえないくらい安かったのだ。
クルマの素性を良く知る“むらエボ”さんにとって、このクルマは憧れの1台だったので、壊れていても直せるならOKという判断で即購入。まずはエンジン修復を兼ねて、再び走れる状態にするべくチューニングを含めた修復作業を行った。
エンジン換装で450馬力にパワーアップ
いろいろ調べるとエンジンは完全にダメでピストンが棚落ちしていたため、別のエンジンを購入し、それをベースに鍛造ピストンやハイカムを組んだ強化ユニットを作って載せ替えた。そして、補器類もグレードアップして、タービンもHKS製GT III RSタービンに交換することで450馬力を発揮する仕様を完成させた。
また、駆動系はメタルクラッチに交換し、トランスミッションはジムカーナ時代のクロスのまま、デフは機械式に。ファイナルは不明だが、おそらくローギヤード仕様になっているという。そして、サスペンションもジムカーナ時代のものをそのままオーバーホールして使用。セットされていたのは、エナペタル製車高調キットだった。
エボXを購入してからチューニングカーとして走れる状態になるまで、かなり時間がかかったが、なんとか修復も完了。よりパワーアップしたエンジンを満喫しながら、ドライブを楽しんでいたが、あるイベントとの出会いをきっかけにその姿を痛車へとスイッチさせた。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)
見た目だけじゃないカスタムの自由さに惹かれた痛車の世界
転機となったイベントの名は、愛知で開催されていたカスタム痛車最高峰のイベント「デイドリーム」だった。この会場に集まったマシンは、痛車ならではの華やかなラッピングだけでなく、外装、内装、機能系にいたるまで、それぞれのマシンが個性豊かなカスタムを施し遊んでいた。
“むらエボ”さんは、会場を埋め尽くしたカッコ良すぎるマシンの姿に圧倒され、その魅力にハマってしまった。もちろん、もともとアニメ好きなこともあったが、この自由すぎる世界は面白いかもと思って愛車のフルリニューアル化を決意したと話す。
彼の推しキャラはアニメ『ワールドウィッチーズ』の世界から『ストライクウィッチーズ』の「宮藤芳佳」と『ブレイブウィッチーズ』の「雁淵ひかり」のふたり。このキャラを左右に振り分けて、愛車のエボXにコンボラッピングを施している。
改造費用は1000万円オーバー
痛車の場合は、公式に使用許諾などは取らず、おそらく勝手にクルマのボディに描いていると思っているひとが大半ではないだろうか。だがじつは、みんな真面目に痛車として個人的に楽しみたいと、アニメーターに連絡して許可をもらってから製作に臨むことが普通だと“むらエボ”さんは言う。だから、自身も凝りまくった絵を考え、車両全体のラッピングCGが完成した段階で、作者にこんな仕上げになるということを見せて承認をもらったのだと話す。そして、そんなやり取りの流れから、ありがたいことに、本物のアニメーターの方から絵をプレゼントしていただいた。それをリアウインドウにシースルー加工を施した特殊フィルムで施工して貼っているのが一番自慢のポイントだという。
ボディラッピングの施工費用は80万円ほどかかっているそうだが、全体のトータル費用をあらためて計算してみると、驚くことにすでに1000万円近くに膨れ上がっていることが発覚! 知らず知らずにこんなに費用がかかっていたのかと驚いたらしいが、今後も自分の趣味として、少しずつ変化を加えながらカスタム痛車というジャンルを盛り上げ、楽しみたいと考えているそうだ。
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