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行きはよいよい帰りはちょっと…屋根付きコインパーキング争奪戦! ただしフィアット「500」は絶好調です【週刊チンクエチェントVol.43】

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TEXT: 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)  PHOTO: 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)

できるだけゴブジ号を雨ざらしにはしたくない

チンクエチェント博物館からフィアット500をお預かりするにあたって、僕は自宅近くの屋根付き駐車場を探しまくった。が、目黒区のはずれの自宅から歩いて行ける範囲内に雨風をしのげる賃貸駐車場というのが少なくて、あっても月額7万円とか5万円とかのセレブ相手にしか思えないところだったり、あるいはネットで3万円ほどのところを発見して速攻で電話してみたら直前に埋まっちゃっていたり、不動産屋さんにお願いしておいてもなかなか出てこなかったりで、決まった駐車場を借りることができていなかった。

いや、青空露天の賃貸駐車場ならいくらでもある。けれど、出掛けてるときに降られたなら仕方ないけど、僕はできるだけゴブジ号を雨ざらしにはしたくなかった。とりわけ古いイタリア車は錆びやすい。日本より空気が遙かに乾いてるイタリアの地でも、錆だらけになったチンクエチェントというのをたくさん見てきているのだ。濡れちゃったときには可能な限り拭きまくって水滴と戦ってはいたが、それだけで防げるほど甘くないことは自明の理だ。

なら、どうしていたのか。自宅から歩いて行ける範囲内に、実は屋根付きのコインパーキングというのがふたつあって、日々、そこを利用していたのである。ひとつは徒歩10分、24時間1600円。もうひとつは徒歩2分、24時間980円で、30分前からアプリで予約可能。当然、後者を使いたいわけだ。

ところが、クルマを濡らしたくないヒトというのはほかにももちろんいて、980円屋根付きコインパーキングはいつも争奪戦だ。ゴブジ号で出掛けて帰宅を意識しはじめる頃になると、iPhoneのアプリで空き状況をチェックする。30分くらいで到着できそうになったら、速攻で予約を入れる。たった一度だけど、予報が変わって雨になりそうになったときには、30分ではとても到着できそうになかったのだけど予約を入れ、30分が経過して自動的にキャンセルとなった後に速攻でまた予約を入れて……というズルい方法をとっちゃったこともあった。腹黒い男である。

何カ月経っても多少の妥協を考えても月極の屋根付き駐車場と巡り会うことができず、日々、争奪戦を繰り広げて負けたりしてるうちに、同じ駐車場を狙ってるヒトの車種やボディカラー、それぞれの生活パターンのようなものが次第に見えてきて、勝率が60%を超えるようにはなった。でも、そんなこと考えながら出掛けるのって、疲れちゃうのだよねぇ……。

コロナ渦のときから漠然と考えてた“もう都内で暮らす意味ってあんまりないよなぁ……”というのが“ホントに引っ越ししようかなぁ……”へと徐々に変わってきたのは、そんな頃だった。

■協力:チンクエチェント博物館
https://museo500.com

■協力:スティルベーシック
https://style-basic.jp

■週刊チンクエチェント連載記事一覧はこちら

>>>フィアット&アバルトの専門誌「FIAT & ABARTH fan-BOOK」のvol.08を読みたい人はこちら(外部サイト)

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  • 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)
  • 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)
  • 『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー雑誌の『ROSSO』やフェラーリ専門誌『Scuderia』の総編集長を歴任した後に独立。クルマとヒトを柱に据え、2011年からフリーランスのライター、エディターとして活動を開始。自動車専門誌、一般誌、Webなどに寄稿するとともに、イベントやラジオ番組などではトークのゲストとして、クルマの楽しさを、ときにマニアックに、ときに解りやすく語る。走らせたことのある車種の多さでは自動車メディア業界でも屈指の存在であり、また欧州を中心とした海外取材の経験も豊富。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
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