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スズキ「アルト」に「ワゴンR」のターボエンジンを移植! 軽カーで争う「東北660ターボGP」でクラス首位の車両のチューニングポイントとは

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

  • 大柴さんのアルト
  • 6点式のロールケージを組み乗車定員は2名に変更。室内はアンダーコート類を剥がして軽量化、脱着式のステアリングもレーシーだ
  • フルバケットシートは高いホールド性と剛性で人気のブリッド・ジータ4。組み合わせた4点式シートベルトはOMPのレーシングGPだ
  • ボディはなんとフルスポット増しが施されている。足まわりはオートリサーチ米沢のオリジナル車高調でブレーキはワゴンRのターボ用を装着
  • HA23アルトのNAもワゴンRなどのターボも、車検証に記載されるエンジン型式は同じK6A。つまり公認車検を取得する必要もない
  • 2クラスの範疇に収めつつ最大限のパワーを出す手段として、タービンはFTB06MFをチョイス。吸排気系にもひととおり手を入れる
  • インタークーラーのパイピングも製作。なおマフラーやフロントパイプは、フォレストモータースのオリジナルで排気効率を高めている
  • 第2戦から投入した前置きインタークーラーはトヨタ「ハイエース」の純正を流用。ただ今後はより高い冷却力の社外品に変更する可能性がある
  • ターボ車の多くが14インチや15インチを選択するなか、大柴さんはあえて13インチにサイズを落としてきた。次のSUGOでは何を使う?
  • 決勝はカプチーノを駆る松山選手には届かなかったけれど、着実にポイントを重ね第2戦が終了した時点ではシリーズランキング首位に君臨している
  • 2024年は開幕戦で優勝し、第2戦も準優勝と好成績を残す大柴さん。スポーツランドSUGOの第3戦に向けてどんな対策を練っているのか
  • 真っ白のボディでノーマル風に仕上げているが、じつは痛車化も考えているという。またチームで戦う耐久レースも興味があるそうだ

NAのHA23アルトにK6Aターボをスワップ!

新規格軽自動車によるレースとして人気の「東北660シリーズ」。ターボ車だけで争われる「ターボGP」にスズキ「アルト」で参戦するベテランドライバーを紹介します。こだわりを投入しているマシンメイクの秘密とは?

数年の参戦休止を乗り越え再びエントリー

極端なパワーアップは耐久性が低くなりそうで心配、チューニングより走り込みにお金を多く使いたい。しかしノーマルよりもう少しだけ力強さが欲しい。そんな人に最適なのが「東北660ターボGP」の2クラスだ。

2クラスは1クラスと同じく社外タービンへの交換が認められているが、ハイフローなど小さめのタービンに限られており、パワーも無制限の1クラスに対して100psが目安とされている。純正タービン限定の3クラスがマンネリ化した人や、ワンランク上のパワーが欲しくなった人を対象とし、コストと速さのバランスに優れたクラスといっていい。

そんな2クラスで活躍するドライバーのひとりが、今シーズンの開幕戦で優勝を遂げた大柴泰我さんだ。以前は新規格NAの「東北660選手権」にエントリーしていたが、数年間の休止を経てターボ化した愛車のHA23型スズキ「アルト」で復活。満を持して再デビューした彼のマシンメイク、そして今後の目標などをインタビューした。

大柴さん

以前から何かしらのレースに出たいとは考えており、そんなときにSNSで東北660シリーズの存在を知ったという大柴さん。HA23アルトのカタログモデルにはNAしか存在しないが、ワゴンRなどには同じエンジン型式のターボ仕様があり、載せ替えてターボGPに参加している車両は昔から多い。

「フォレストモータース」で製作した大柴さんのアルトも同じ手法で、タービンはノーマルからFTB06MFのA/R6.5に交換した。制御は書き換えた純正ECUにサブコンを組み合わせ、レギュレーションが定める100ps以内に収めている。

2024年3月に行われた開幕戦では予選こそ2番手に甘んじたものの、決勝はL802S型ダイハツ「オプティ」の舟山 康選手を破りトップでチェッカーを受けた。復帰戦を最高の形で締め括った大柴さんはさらに上を目指し、第2戦ではインタークーラーを前置きに変更すると同時に、タイヤをインチダウンすることでギヤ比の最適化を狙った。

また作戦面では終盤までタイヤとブレーキを温存しながら、後続車に追い付かれた際はペースを上げて引き離しにかかり、逆に追う立場なら隙あれば抜く余力を持たせるようにした。

まだまだ進化させたいポイントがある!

まだ肌寒かった開幕戦と異なり気温も湿度も高く、ターボ車にとっては辛いコンディションだった第2戦。優勝は3クラスで圧倒的な速さを誇りステップアップしてきた、松山雄大選手のスズキ「カプチーノ」に奪われるが堂々の2位でフィニッシュした。

なお今回は冷却系のキャパシティが足りないと感じたようで、大容量ラジエーターやオイルクーラーの装着を視野に入れているという。もうひとつはパワーを活かすための駆動系だ。ふたつの長いストレートを持つスポーツランドSUGOならさほど影響はないが、エビスサーキットは西コースも東コースも機械式LSDによる恩恵が非常に大きい。シーズン後半戦に向けてどうモディファイしてくるか楽しみだ。

2024年の2クラスは現時点で大柴さんと松山選手がそれぞれ1勝を挙げており、第2戦はトランスミッショントラブルで戦線離脱した舟山選手も黙っていないだろう。なおHA36「アルトワークス」および「アルトターボRS」とLA400K型ダイハツ「コペン」、ホンダ「S660」にも続々と2クラスに適合するタービンが登場しており、来年は3クラスからの卒業を公言するドライバーも少なくない。

* * *

ブーストアップを超えるパワーでありながら、意外と製作コストが安く手軽に遊べる2クラス。くたびれた純正タービンのリフレッシュを兼ね、アンダー100ps仕様を作ってエントリーするのもオススメだ。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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