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2ペダルのホンダ「S660」でも十分楽しめる! 軽カーだけの「東北660ターボGP」に参戦するベテランに基本のチューニングを教えてもらいました

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

  • S660オーナーの兵頭さん
  • エンジンは一般的なブーストアップ仕様だが、電子制御の関係でMTほどのパワーは望めないとか。タービンの加工も視野に入れている
  • インタークーラーカバーはオートクラフトのオリジナル。外気を効率よくコアへ導くことができ、カーボン製でドレスアップ効果も大だ
  • ECU本体の書き換えだけでは上がらないブーストを、少しでも補正するため装着したサブコン。ダイヤルで9段階に効果を調整できる
  • コクピットはステアリングを含めノーマルの雰囲気を色濃く残す。ストリートもサーキットも楽しく快適に走るのが譲れないテーマだ
  • ブーストや温度などを表示できるブリッツのレーシングモニターDC。ふたつ並べて装着し愛車のコンディション把握に役立てている
  • ミッドシップは熱対策が必須。オイルクーラーやCVTクーラーを装着するだけでなく、物理的に冷却するウォータースプレーも併用
  • シートはタイトな室内にも収まるエスケレートのタイプBRCに交換。4点式シートベルトはKTSの3インチ幅だ。動画を撮る車載カメラも搭載
  • 車載カメラに加えてデータロガーをふたつ装備し、自身のドライビングを分析することも欠かさない。こうした積み重ねが大切なのだ
  • 今回は孤軍奮闘となった4クラス。無事に完走してトロフィと賞品をゲットした。隣は開発を担当するオートクラフトの日向氏だ
  • 2024年シーズンも第2戦のエビスサーキット東コースは、CVTのS660で4クラスにエントリーした兵頭孝之さん。ベストラップは1分19秒387だ
  • モータースポーツ歴は30年を数える大ベテラン。ホームコースは地元の日光サーキットで、S660ワンメイクのH1カップなどにも参戦している

CVTのS660で東北660ターボGPに参戦!

新規格NAエンジン搭載軽自動車で争われるレースが「東北660シリーズ」。そのほかにもターボ車が参戦できる「ターボGP」や、HA36型スズキ「アルト」のワンメイクカップなど、多彩なカテゴリーを設けて参戦者を魅了しています。その中で、現在注目を集めているのがCVTやAT搭載の2ペダル車で参戦できるクラス。ホンダ「S660」で参戦しているドライバーを紹介します。

走る楽しさも奥の深さもMTと変わらない

2011年に新規格NA軽自動車によるレースが始まったときより、2ペダル車のクラスを大切にし続けてきた「東北660シリーズ」。新規で運転免許を取得する人のうち、ATの割合は70%に迫り、MTはごく一部のスポーツカーに残る程度のため新規取得者は少ない。いつまでもMTにこだわっていたのでは、草の根モータースポーツの火が消えてしまう。

そこで後発カテゴリーである「東北660ターボGP」にも、2ペダルなら何でも参加できる4クラスを設定した。まだまだエントリー台数こそMT車に及ばないものの、2ペダル車を走らせるドライバーのテクニックや車両のセットアップ術などは着実に進化している。

2024年シーズンの第2戦に初めてCVTのホンダ「S660」を持ち込んだ、30年のサーキット走行歴を誇る兵頭孝之さんも2ペダル車でレースを楽しむドライバーのひとりだ。東北660ターボGPには以前よりMTのHA36型スズキ「アルトワークス」で参加していたが、セカンドカーにCVTのS660を購入したところ想像していた以上に走りが楽しく、埼玉のプロショップ「オートクラフト」に持ち込みマシンメイクが始まったという。

S660の走り

現在のスペックは純正タービンでECUのみオートクラフトのオリジナル、そして吸排気系にもひととおり手が加えられた一般的なブーストアップ仕様。CVTはシフト操作がないためドライビングに集中でき、つねにエンジンの高回転をキープできるのが武器だが、いっぽうでウィークポイントも存在すると兵頭さんは分析する。

CVT車ならではのドラテクも必要になってくる

例えばコーナーの立ち上がりでアクセルを全開にしたとき。ギヤが変わるまで若干のタイムラグが発生し、MTよりも加速のタイミングが遅れてしまう。そこでアクセルの踏み方やV字型のライン取りなど、少しでも早く加速に移れるよう工夫している。

車両のメカニカルな部分ではCVTの電子制御もネックだという。ECUの書き換えで少なからずパワーは上がっているが、MTほどの速度が出ないためタービンの加工を検討中だ。CVTはMTに比べて20kg重いことも加味すると、80psくらいは欲しいというのが正直なところ。

安全で楽しいサーキット走行に必須なもうひとつの部品はCVTクーラーで、インタークーラーやオイルクーラーと同じオートクラフト製を装着している。好きなタイミングでクーリングできるフリー走行なら話は別だが、レースはペースを落とさずに決められた周回数を走りきることが求められ、そのためのマストアイテムがCVTクーラーであると兵頭さんは考えている。

そしてECU書き換えは、ボディの重さを補ってくれるうえ、サーキットに限らず一般道でも楽しさと乗りやすさが大幅にアップするそうだ。今後はECUやタービンをさらに煮詰めつつ、吸気温度を下げるエアダクトも導入する予定。開発は主治医のオートクラフトが担当する。

サーキットのラップタイムではMTに及ばないものの、楽しさは変わらずシフト操作のミスも起こり得ない。東北660ターボGPの4クラスにはCVTだけではなくATやAGSも参加できるので、たくさんの2ペダル車と一緒にレースを楽しめるようPR活動も続けていきたいと兵頭さんは話してくれた。東北660ターボGP、次戦は2024年8月25日にスポーツランドSUGOで開催される。興味を持った人はぜひ現地へ足を運んで観戦してみてはいかがだろうか。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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