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たった70万円でネオクラシックなメルセデス・ベンツ「280CE」が落札! 極上車でない個体で、いま流行りの旧車生活をスタートしてみては

たった70万円でネオクラシックなメルセデス・ベンツ「280CE」が落札! 極上車でない個体で、いま流行りの旧車生活をスタートしてみては

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: bonhams

売り手側の期待をよそに、わずか70万円で落札された理由は?

このほど、ボナムズ「AMG Rediscovered Online」オークションに出品された1978年式メルセデス・ベンツ 280CEは、写真からもお分かりいただけるだろうが、衝撃吸収型の大型バンパーを持つ、北米向けの4速オートマチックトランスミッション仕様車である。

ボディカラーはソリッドの「ライトアイヴォリー(明るいクリーム色)」。インテリアは「パロミノ(黄褐色)」本革レザーの組み合わせで仕上げられ、ボナムズ社の公式ウェブカタログ作成時の走行距離が16万2887マイル(約26万600km)にも及ぶわりには、かなりきれいなコンディションの1台と思われる。

また、オリジナリティはかなり保たれているものの、ステアリングホイールのみは、このクルマのオーナーだった故テイラー氏が1985年から北米西海岸で営んでいたスペシャルショップ「AMG West」ブランドのものが装着されている。

メルセデス・ベンツ 280CEを含むW123シリーズは、その技術的洗練性や整備性の高さにくわえて、伝説的ともいえる頑丈さでも有名なクルマ。それゆえに「エントリーレベルのクラシックカーとしても好適」と、ボナムズ・オークション社の公式カタログ内では語られていた。

テイラー氏のコレクションにあった間、この280CEは屋内に長期静態保存されていたとされている。しかし、ボナムズの管理下に移されたあとには走行しておらず、エンジンを再始動する前には一定のチェックとメンテナンスが必要とのことであった。

エスティメート価格は強気だったが……

この280CEに、ボナムズ社は2万ドル~2万5000ドル(約294万円〜368万円)という、現状のコンディションを思えば、かなり強気とも受けとれるエスティメート(推定落札価格)を設定。ただし、今回の「AMG Rediscovered Online」オークションの前提条件にしたがって、「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」での出品となった。

この「リザーブなし」という競売形態は価格の多寡を問わず落札できることから、とくに対面型オークションでは会場の雰囲気が盛り上がり、ビッド(入札)が跳ね上がる傾向もある。その反面、たとえ価格が売り手側の希望に到達しなくても、自動的に落札されてしまうリスクも内包している。

そして6月17日に入札解禁されたオンライン入札では、そのリスクが顕現してしまうことになった。1週間後の24日に入札締め切りとなったところで、エスティメート下限の1/4にも及ばない4600ドル、つまり日本円に換算すれば約70万円で落札されたのだ。

メルセデスC123クーペは、現在の「ヤングタイマー・クラシック」人気の影響を受け、たとえばレストア済みの極上モノであれば、5万ドル超えも決して珍しくはないようだ。

でも、やはり他にもそれなりに選択肢があるクルマで、ちゃんと走らせるためには一定以上の整備が必要な個体に下された評価としては、今回のハンマープライスはきわめて順当なものと感じられたのである。

>>>メルセデスの専門誌「only Mercedes」のvol.220を読みたい人はこちら(外部サイト)

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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