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たった70万円でネオクラシックなメルセデス・ベンツ「280CE」が落札! 極上車でない個体で、いま流行りの旧車生活をスタートしてみては

4600ドル(邦貨換算約70万円)で落札されたメルセデス・ベンツ「280CE」(C)bonhams

近ごろ人気上昇中? メルセデスのちょっとスタイリッシュなクーペ

2024年6月17~24日にかけて、名門ボナムズ・オークション社がオンライン限定で開催した「AMG Rediscovered Online」オークションでは、アメリカにおけるAMGの大家、故バリー・テイラー氏が収集した、きわめてレアなクラシックAMGとその膨大なパーツ/グッズにくわえて、スタンダードのメルセデス・ベンツも少数ながら出品されていました。今回はそのなかから、ほとんどフルノーマルのクーペ「280CE」をピックアップ。車両解説と注目のオークション結果についてお伝えします。

メルセデスの高性能パーソナルカーの系譜を受け継いだC123系280CEとは?

メルセデス・ベンツの基本ラインアップが、現在の「Eクラス」に相当するミドル級セダン「コンパクト・メルセデス」と、「Sクラス」に相当するフルサイズセダンだけで構成されていた時代。同ブランドのパーソナルカー需要は、「SL」および大型モデルに設定されていたクーペおよびカブリオレが担っていた。

しかし、1968年に登場した「W114」系コンパクトの2ドア版として、翌1969年にセンターピラーレスのクーペが登場したことにより、現行モデルの「CLE」クラスに至るミドル級クーペへの系譜がスタートすることになる。

そして1975年11月、W114系リムジン(セダンのドイツ式表記)が後継車「W123」系に取って代わられると、1977年春にはクーペも「C123」と呼ばれる第2世代へと進化を遂げることになった。

C123クーペは、W123リムジンのホイールベースを2795mmから2710mmに短縮。同じデザインテーマによる2ドア/センターピラーレスのボディを架装したもので、C107系「SLC」シリーズの妹分というキャラクターも与えられていた。

ラインアップは仕向け地によって若干の違いはあるものの、直列4気筒2.3Lの「230C」と、直列6気筒2.8Lの「280C」およびその燃料噴射バージョンである「280CE」が大方のマーケットで販売されたとのことである。

とくに、2746cc DOHC 直列6気筒エンジンにボッシュ社製燃料噴射を組み合わせ、185psをマークした「280CE」は、シリーズ中もっともスポーティにしてゴージャスなモデル。4輪ディスクブレーキも装備され、メルセデス・ベンツが第二次世界大戦以前から継承してきた、グランドツーリングクーペの長い系譜に名を連ねることになったのだ。

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売り手側の期待をよそに、わずか70万円で落札された理由は?

このほど、ボナムズ「AMG Rediscovered Online」オークションに出品された1978年式メルセデス・ベンツ 280CEは、写真からもお分かりいただけるだろうが、衝撃吸収型の大型バンパーを持つ、北米向けの4速オートマチックトランスミッション仕様車である。

ボディカラーはソリッドの「ライトアイヴォリー(明るいクリーム色)」。インテリアは「パロミノ(黄褐色)」本革レザーの組み合わせで仕上げられ、ボナムズ社の公式ウェブカタログ作成時の走行距離が16万2887マイル(約26万600km)にも及ぶわりには、かなりきれいなコンディションの1台と思われる。

また、オリジナリティはかなり保たれているものの、ステアリングホイールのみは、このクルマのオーナーだった故テイラー氏が1985年から北米西海岸で営んでいたスペシャルショップ「AMG West」ブランドのものが装着されている。

メルセデス・ベンツ 280CEを含むW123シリーズは、その技術的洗練性や整備性の高さにくわえて、伝説的ともいえる頑丈さでも有名なクルマ。それゆえに「エントリーレベルのクラシックカーとしても好適」と、ボナムズ・オークション社の公式カタログ内では語られていた。

テイラー氏のコレクションにあった間、この280CEは屋内に長期静態保存されていたとされている。しかし、ボナムズの管理下に移されたあとには走行しておらず、エンジンを再始動する前には一定のチェックとメンテナンスが必要とのことであった。

エスティメート価格は強気だったが……

この280CEに、ボナムズ社は2万ドル~2万5000ドル(約294万円〜368万円)という、現状のコンディションを思えば、かなり強気とも受けとれるエスティメート(推定落札価格)を設定。ただし、今回の「AMG Rediscovered Online」オークションの前提条件にしたがって、「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」での出品となった。

この「リザーブなし」という競売形態は価格の多寡を問わず落札できることから、とくに対面型オークションでは会場の雰囲気が盛り上がり、ビッド(入札)が跳ね上がる傾向もある。その反面、たとえ価格が売り手側の希望に到達しなくても、自動的に落札されてしまうリスクも内包している。

そして6月17日に入札解禁されたオンライン入札では、そのリスクが顕現してしまうことになった。1週間後の24日に入札締め切りとなったところで、エスティメート下限の1/4にも及ばない4600ドル、つまり日本円に換算すれば約70万円で落札されたのだ。

メルセデスC123クーペは、現在の「ヤングタイマー・クラシック」人気の影響を受け、たとえばレストア済みの極上モノであれば、5万ドル超えも決して珍しくはないようだ。

でも、やはり他にもそれなりに選択肢があるクルマで、ちゃんと走らせるためには一定以上の整備が必要な個体に下された評価としては、今回のハンマープライスはきわめて順当なものと感じられたのである。

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