リトラ車の人気が再燃中
「RETRA JAM」(リトラジャム=リトラクタブルカージャンボリー)は、その名の通り「リトラクタブルヘッドライト」を持つ車両だけを集めたイベントとして、2023年9月に福岡県で初開催されました。第1回が大好評だったことで、2024年は会場を前回より広い福岡県北九州市にある、ひびき海の公園に変更。前回の2倍となる100台のリトラ車が大集合し、とても見応えのあるイベントとして成長中です。
リトラ車だけの集まりが少しずつ広がっている
「リトラクタブルヘッドライト」とは、使用しないときはフェンダー、エンジンフード、フロントグリル内に収納し、使用時にリンク機構を電動モーターで駆動して、前方照射状態に正立させる設計の前照灯のこと。スペース確保、スマートなスタイリング、走行空気抵抗の減少が主目的とされる(三栄書房刊『大車林:自動車情報事典』より)。
簡単にいってしまえば、隠れているヘッドライトを使用する際はパカパカと開閉して表に現れる。その昔はスーパーカーやスポーツカーといった特別なクルマにのみ装備されていた、ある世代にとっては憧れのスタイルだった。それが技術の進化とともに必要とされなくなり、1997年~2004年に製造された5代目シボレーC5型「コルベット」を最後に、どのメーカーも採用することがなくなったメカニズムだ。
そんなリトラ車両だけを集めたミーティング「RETRA JAM Vol.2」が、2024年5月4日に福岡県北九州市にあるひびき海の公園で開催された。海沿いの美しいロケーションが楽しめる会場ということもあり、今回は100台もの車両がエントリー。外国車勢の参加も少しずつ増えており、「リトラクタブルヘッドライト」に特化したこのイベントの趣旨が、どんどん広まっている印象を感じた。
現存するリトラ車が多いのはマツダだった
参加車両を確認すると、やはりユーノス「ロードスター」(1989~1998年)が大人気で、関東からの参加もちらほら。その次に多かったのがマツダ「RX-7」で、2代目FC型(1985~1992年)と3代目FD型(1991~2003)も多数参加。さらに「ファミリアアスティナ」(1989~1994年)も並んでおり、マツダはリトラクタブルヘッドライトを採用した車両が意外と多かったことを改めて実感。また2代目「プレリュード」(1982~1987年)や初代「NSX」(1990~2001年まで)といったホンダ勢も、左ハンドル車を含めて前回同様にイベントを盛り上げていた。
この2回目となるイベントで印象的だったのは、少しずつ車種が広がっていることだった。トヨタの4代目「セリカ」(1985~1989年)と5代目(1989~1993年)や、トヨタ初代「MR2」(1984~1989年)と2代目(1989~1999年)。そして伝説のトヨタ「2000GT」(1967~1970年)やトヨタ4代目AE86型「スプリンタートレノ」(1983~1987年)、トヨタ初代A70型「スープラ」(1986~1993年)といったトヨタ勢。
三菱は「スタリオン」(1982~1990年)。日産は「180SX」(1989~1999年)と4代目S12型「シルビア」(1983~1988年)。輸入車では、フェラーリ「328GTS」(1985~1989年)、フェラーリ「F355ベルリネッタ」(1994~1999年)、ロータス「エスプリ」(1976~2004年)と、シボレー5代目C5型「コルベット」も増えていた。
バリエーションが少しずつ増えているということは、それだけこのイベントミーティングの認知度が高まった証拠。来場者からは、「九州だけじゃなくて、他の地域でも開催してほしい!」という声が多く聞かれたのも事実だ。しかも、開催を重ねるごとに車種が増えてくれれば、実働するリトラ車両歴史館のような趣きになりそうな予感がする。いずれにしても、まだ2回しか実施していないにもかかわらず、多くの来場者が集まったこの実績を見ていると、今後のさらなる飛躍に期待せざるをえない。