続々と新しいドライバーやチームが参戦
スポーツランドSUGO(宮城県)やエビスサーキット(福島県)で開催されている、軽自動車だけで争われるレース「東北660」シリーズ。手軽さから学生からベテラン勢まで幅広く参戦しており、新たにデビューするドライバーやチームも多いのが特徴です。2024年にデビューしたチームを紹介します。
プロショップ代表と仲間たち3台でエントリー
14年目のシーズンを迎えた「東北660選手権」だが、今もなお新たなエントラントが増え続けている。2024年第2戦のエビスサーキット東コースでデビューを果たしたのは、山形県のプロショップ「ガレージ310」を率いる佐藤 翼さんら3名だ。
東北660シリーズではルーキーだがサーキットの経験は豊富で、2014年に閉業した仙台ハイランドなどを走り込んでいたという。きっかけは以前から交流があった「オートリサーチ米沢」の走行会で、低コストで本格的なレースを楽しめそうだと感じてベース車両を購入した。仲間たちも次々に軽自動車の楽しさにハマり、佐藤 翼さんは「HA36カップ」に、佐藤奈美さんと新舘純仁さんは東北660選手権に参加することになった。
デビュー戦の目標を「3台とも完走すること!」と定め、佐藤 翼さんはHA36カップの1クラスで見事4位フィニッシュ。いっぽう佐藤奈美さんは5クラスで3位に入賞、新舘さんも6番手で無事にチェッカーを受けた。クルマに慣れたとはいえない段階のうえ、セッティングも発展途上ながら、全員が目標を達成できたのは今まで走り込んできた経験があってこそだろう。
カスタムも得意なので大胆アレンジはお手の物
そんなガレージ310はレッカー業務や車両の販売、カスタムとクルマに関することなら何でもお任せだ。とくにカスタムは昔から力を入れてきたカテゴリーで、今回の参戦マシンでも手腕が大いに発揮されている。
注目してほしいのは佐藤奈美さんのダイハツ「エッセ」。格子状のダクトが開いた純正フロントバンパーのデザインが気に入らず、L275型ダイハツ「ミラ」の純正とニコイチにしてオリジナルを製作したとのことだ。フェンダーと繋がるラインを含めて自然な仕上がりで、思わず純正オプションかと勘違いしてしまうクオリティである。軽量なカーボン製のボンネットと併せて、上質かつスパルタンな雰囲気に仕上がった。
いっぽう新舘さんは今回が人生初のレースで、中古パーツを活用しながらマシンを製作。トラブル予防を兼ねてイグニッションコイルは社外品に交換し、夏に備えローテンプのサーモスタットで冷却系も強化する。
そして佐藤 翼さんが参加するHA36カップは、改造範囲がさらに狭く最低重量の規定もある。初年度にMTの1クラスとAGSの2クラスでチャンピオンを獲得した、オートリサーチ米沢にアドバイスを受けつつ仕上げていったそうだ。
書き換えが認められている純正ECUはオートリサーチ米沢のオリジナルに。マフラーはラインナップレーシングでエアクリーナーは定番のHKSパワーフローである。レースに向け作り込んできたのはサスペンションで、ストリートライドの車高調に加えて強化ブッシュ、アクスルリジッドカラーにキャンバーシムも装着した。
今後は車両規定に抵触しない範囲での軽量化や、足まわりのセッティングを煮詰めるのが目標で、経験を積み3台が揃って上位に入賞したいと話す。チューニングで安易にパワーを上げることが難しいため、走り込みとデータ取りが欠かせない東北660シリーズ。後半の2戦でタイムと順位をどこまで上げることができるのか期待したい。