まぎらわしい交通ルール! はみ出し禁止は守れている?
自動車免許を持っている人なら、絶対に知っておかなければならないのが道路交通法ですが、日常的に運転している中では、曖昧だったり忘れている交通ルールも少なからずあるのではないでしょうか。その中でも「はみ出し禁止」のルールは、分かっているようで、あなたの知識はじつは間違っているかもしれません。改めて復習しておきましょう。
実線と破線の違い、白とオレンジの違いとは?
何十年という運転歴を持つベテランのドライバーでも、意外に分かりにくい車線の「はみ出し」に関するルール。とはいえ違反を犯したら知らなかったじゃ済まされず、減点や反則金といったペナルティが課せられてしまう。楽しいドライブで痛い目に遭うことがないよう、ルールを正確に把握し安全な運転を心がけたい。
まずは路面に引かれたセンターラインについて。目的は対向車線との間に境界を作り進行方向を分離することで、色はホワイトとイエローで、さらにホワイトは実線と破線がある。ホワイトの実線は左に位置する片側の車線が6m以上の道路、または道路交通法第30条による追い越し禁止の場所に使われ、ラインをはみ出すことなく前車を追い抜くのは違反ではない。いっぽうホワイトの破線が引かれた場所では、ラインをはみ出しての追い越しが認められる。
イエローの線は追い越しするためのはみ出しが禁止だが、駐車しているクルマや工事している箇所を避ける目的なら、追い越しに該当しないためはみ出してもOKとなるのだ。そして車線が合流する付近などで見るイエローの実線とホワイトの破線が並んでいる場合は、自分から見て近い側にホワイトの破線が引かれていればイエローの線もはみ出して構わない。逆に自分から見て近い側がイエローの実線なら、追い越しのためはみ出すと違反になってしまう。
標識がなくてもはみ出し禁止の場所もある
標識や表示がなくても追い越しが禁止される場所もあり、道路交通法の第30条では「道路の曲がり角付近/上り坂の頂上付近/勾配の急な下り坂/トンネル(車両通行帯の設けられた道路は除く)/交差点、踏切、横断歩道、自転車横断帯およびこれらの手前から30m以内の場所」と規定。いずれも対向車が確認しにくいなど禁止の理由は明確だ。
もうひとつはみ出しに関するルールを難解にしているのは、本標識の下にいわゆる「補助標識」があるかないか。追い越し禁止と明記された補助標識があれば、一切の例外なくすべての追い越しが禁止される。いっぽう補助標識が見当たらず本標識しか存在しないときは、センターラインをはみ出さない範囲での追い越しが可能だ。もっともクルマでクルマを車線内で追い越すのは現実的じゃなく、原付など小さな車両が前方にいるケースと考えたほうがいいだろう。
左からの追い越し、右車線を走り続けるのも違反となる
もうひとつ注意したいのは片側に複数の車線があるケース。道路交通法の第20条によると
「車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によって指定された自動車を除く。)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となっているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる」
とされ、片側2車線なら左側を走り、片側3車線を超えるなら一番右側を除く車線を走りなさい、という意味だ。
つまり複数ある車線のうち最も右側は追い越し用であり、追い越しに関係なく走り続けるのはれっきとした違反だと覚えておこう。さらに追い越しは必ず右側からでなければならず、空いているからといって左側から追い越すのも違反。自分を追い越そうとしている後続車を妨害することも、前のクルマがさらに前のクルマを追い越そうとしているとき、便乗するように自分も追い越すのも違反なので注意しよう。
最後に反則金と点数について。追い越し禁止の違反は点数が原付から大型まで変わらず2点で、反則金は車両によって6000円~1万2000円と幅がある。前述の追い越し車線を走り続ける「車両通行帯違反」は1点と6000円、左側から追い越す「追い越し違反」は2点と9000円、追い越しの妨害は「他の車両に追いつかれた車両の義務違反」で1点と6000円、前のクルマが追い越そうとするときに自分も追い越すのは「二重追い越しの禁止」で1点と7000円(いずれも普通車)だ。
センターラインの色と形状だけに限らず、複雑なルールがあるはみ出しに追い越し。きちんと理解したうえで違反や事故を起こさないように心がけるべし。