「クルマ好きすべての欲望」を満たせる素敵な相棒だった!
AMW編集部員それぞれの目線で気になるクルマに乗ってみてレポートするAMWリレーインプレ。その番外編となる企画が編集会議で採用されました。今回は、各人が異なるクルマでキャンプに出向き、オススメポイントを洗い出すというもの。私に預けられたクルマは、なんとマツダ「ロードスター S」。きゃ、キャンプはどうなるのでしょうか……?
ロードスターでキャンプってマヂ?
6月某日の企画会議で「編集部でキャンプをしよう」と盛り上がり、私にあてがわれたのはマツダ「ロードスター S(6MT)」。あれれ、それって荷物入るの? オープン2シーターで行っても大丈夫なキャンプ場……? 下まわり擦らない? いろいろと不安が頭をよぎる。そんな表情を浮かべていると編集長が一言。
「だいじょーぶ、だいじょーぶ」
キャンプと言っても形態はいろいろ。2015年に連載が開始された漫画『ゆるキャン△』をきっかけに、ソロキャンプブームも到来している。この作品は、ヤマハ「ビーノ」(50cc原付スクーター)で1人キャンプをするのが趣味である高校生「志摩リン(主人公)」と、キャンプ初心者の「各務原なでしこ」を中心に、野外活動サークル(キャンプ)を通じて交流を深めていくもの。
つまり、漫画の展開では、経験を積んできたキャンパーだけではなく、これまでには無かったキャンプ初心者を設定することで、入門作品としての側面も押さえていた。これをきっかけにソロキャンプデビューを果たす人が多く生まれ、話題を呼んだわけだ。
キャンプ初心者の私(過去に取材で2度の経験がある程度)は「だいじょーぶ」の言葉を信じて、長野県小諸市にあるキャンプ場「ウィスラー スカイベース小諸」に向かうことにした。
大幅改良されたロードスターの中身とは?
久々に乗り込むロードスター Sは、2023年10月5日に大幅改良を受けている。安全面では、マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)とスマート・ブレーキ・サポート(後退時検知機能:SBS-RC)の新採用や、マツダコネクトの進化などがあげられる。 エクステリアデザインでは、ヘッドランプ、テールランプともにLED化され、デイタイムランニングランプの変更により、フロントまわりのスポーティさが増している。
インテリアに目を移せば、8.8インチのセンターディスプレイが新たに採用となっている。 ほかにも、電動パワーステアリングとエンジンパフォーマンスフィールが向上。MT車にはサーキット走行に最適化したダイナミック・スタビリティ・コントロール(DSC)の新制御モード「DSC-TRACK」が追加されている。
キャンプ用に必要不可欠とされる荷物を載せ終え、ロードスターの低い着座位置に体を落ち着かせる。運転席左側の空調吹き出し口の下にあるスターターを押すと、1.5L 直4エンジンが目覚める。始動時のみ勇ましいが、エンジンが暖まってしまえば近所にも迷惑にならない心地良いエキゾーストノートだ。 クラッチを踏み、ギアを1速に入れると、アイドリングが少しだけ高くなる。なるほどこれはエンストをさせない心遣いなのだなあと感じ、嬉しい。
意図したとおりに動く気持ちよさ
さて、走り出そう! と思った時に、ふと思い出した。 「あ、雨が降らない限りはオープンですよ」(元NA乗りのAMW編集部 竹内氏)
私はすぐさま、ギアをニュートラルに入れ、屋根を開けることにした。ルームミラー付近にあるルーフオープンレバーのロックを解除し、レバーを引き下ろすと、サイドウインドウが下がり、屋根から幌が外れる。そのまま、車体後方にスライドさせ押し込むだけ。慣れると、乗り込んだままでも簡単にオープントップにすることができる。 私はさらに「省エネ」という条件を追加し、無給油で都内の自宅まで戻ってこようと、行きはエアコンを入れずに現地まで向かうことにした。
ドライビングポジションはまさに自然体で疲れ知らず 。ルートは、首都高速川口線~関越道~上信越道を通る約207kmを走行することになりそうだ。しばらく下道を走らせていると……、最大トルク(152Nm/4500rpm)こそ変更はないが、エンジンパワーが4psアップした(136ps/7000rpm)ことで、味付けが変わったのか……? スタートでは、クラッチミートとアクセル操作を丁寧にしないとギクシャクする傾向にあったのだ。もちろん、慣れてしまえば問題はないのだが、参考までに付け加えておきたい。
長距離を移動するとなると本来であればMRCCのような新採用の運転支援機能を使用するべきだが、今回は折角のロードスターということもあり、あえて使用せずに往復することにしよう。 というのも以前、マツダ主催の若手編集者向けの体験会に参加した時の担当者のコメントを思い出したからだ。
「マツダ車は人間中心思想で開発していて、疲れにくさという観点ではとくにアクセル操作と首の動きに注目しました。アクセルペダルの配置を右寄りに配置し、下から生えているオルガン式を採用することで、自然なポジションでアクセルを踏み込むことができて足の筋肉の疲労を抑えられます。ドライビングするうえでもっとも大事なシートは骨盤をしっかりサポートして、首の揺れを抑えてくれます。人間は無意識のうちに、平衝状態を維持しようとつねにコントロールしているので、これも疲労感の軽減に大きく貢献するんです」
実際、高速道路をドライブしていても、自分が意図した通りの加速、速度維持が可能だった。休憩することを忘れるほど、楽しいロードスターとの道のりはあっという間。いつのまにか現地に到着していた。今回は燃費運転だったこともあり、6速80km/hでは2000rpm、6速100km/hで2500rpmをキープしながらの走行を心がけた。途中、追い越し車線を使用する場面もあったが1段ギアを下げてグッと踏み込むと、わずかに聞こえる吸気音がその気にさせてくれるのも嬉しい。