BMW M、トヨタ、ブリヂストン、GMなどの持続可能な軽量化の未来技術が表彰
コンピューティングやAIの分野で世界をリードするアルテアエンジニアリングは2024年8月6日、2024年度「アルテア エンライテン アワード」の受賞者を発表しました。米国自動車研究センターとの共催で行われるこの賞は、CO2排出量の削減、水やエネルギーの消費の抑制、材料の再利用とリサイクルの促進を実現した、持続可能性と軽量化の優れた取り組みを表彰するものです。クルマの未来を切り拓く最新テクノロジーを見ていきましょう。
サステイナブルなクルマの未来を目指すアルテア エンライテン アワード
アルテアエンジニアリングは、シミュレーション、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)、データ解析、AIに関するソフトウェアおよびクラウドソリューションを提供するグローバル企業だ。アルテアは、あらゆる業界の企業がより効果的に競争し、接続が強化された世界でより賢明な意思決定を行うことを可能にし、さらに環境に優しく持続可能な未来を創造することをタスクとして掲げている。
同社が毎年、米国自動車研究センター(Center for Automotive Research)との共催で開催している「アルテア エンライテン アワード(Altair Enlighten Award)」とは、CO2排出量の削減、水やエネルギーの消費の抑制、材料の再利用とリサイクルの促進を実現した、持続可能性と軽量化の優れた取り組みを表彰する賞。毎年、画期的な自動車技術の次世代を切り開く製品、プロセス、組織を紹介している。
2024年8月6日に2024年アルテア エンライテン アワードが発表され、それに際してアルテア創立者兼CEOのジェームス・R・スキャパ(James R. Scapa)はこうコメントしている。
「エンライテン アワードは、持続可能なテクノロジーにおける自動車業界の優れたイノベーションに光を当てる代表的な賞です。より持続可能な未来を創造する組織を再び表彰できることを嬉しく思います。今年の受賞者は、困難な目標を達成する最高のイノベーターであると考えます」
それでは各部門の受賞テクノロジーを紹介していこう。
サステナブル製品部門 大賞:デュポン/デュポン ベタメイト ブロードベーク接着技術
デュポン BETAMATEブロードベーク接着剤技術は、接着剤を低温で硬化させることで、車体製造時のエネルギー使用量と温室効果ガス排出量の削減に貢献。また、この技術は保存期間を延長する特殊な配合により、低温保存の必要性をなくすという。
サステナブル製品部門 次点:ブリヂストン アメリカ/TURANZA EVタイヤ
グランドツーリング用タイヤ「TURANZA EV」は、市販されている補修用タイヤとしてはトップクラスの再生可能・リサイクル材を50%使用し、ブリヂストンのENLITENテクノロジーを採用することで、性能の最適化とタイヤ寿命の向上を実現している。ブリヂストンは、2050年までに全てのタイヤを再生可能素材とリサイクル素材で100%構成することを目指している。
サステナブルプロセス部門 大賞:BMW M、AMC、Bcomp、Gradel Lightweight Sàrl、Lasso Ingenieurgesellschaft/BMW Mビジョナリー材料シート
BMW Mビジョナリー材料シートは、循環型設計の原則と持続可能な素材に重点を置いている。このシートは、リサイクルポリエステル繊維、亜麻繊維バイオコンポジット、代替バイオジェニックレザーなど、持続可能で再生可能な素材を使用することを重視したモノマテリアル軽量設計が特徴となっている。
可能な限り藻類や植物由来の充填材(チョークやコルクなど)を使用し、石油由来の原材料からバイオベースの素材を作成。複合材は、必要に応じてカーボン、玄武岩、ガラス繊維、天然繊維を使用できる。
サステナブルプロセス部門 次点:トヨタ自動車マニュファクチャリングカナダとPPGインダストリーズ/EPIC200X電着塗料
EPIC200X電着塗料は、自動車ボディの防錆性を高めると同時に、環境への影響を大幅に低減する。トヨタの工場では、新製品と塗布プロセスにより、年間3500トンのCO2排出量を削減することができる。具体的には、新製品は車両ごとの塗布量を0.6kg削減し、新しい塗布工程は年間562万6,000kWhのエネルギーと184万3000ガロンの水を節約するという。
モジュール部門 大賞:サイエンスコ、ゼネラルモーターズ/高性能熱可塑性バッテリーモジュール構造
サイエンスコとゼネラルモーターズは共同で、革新的な高性能熱可塑性プラスチック製バッテリーモジュール構造を設計した。主な特徴としては、精密射出成形による車両性能の向上、組み立てを簡素化するための合理化された部品統合、バッテリーセルを安定させる独自のセルロック機能などが挙げられる。さらに、複数の部品と工程を排除した設計により、効率をさらに最適化している。
モジュール部門 次点:トヨタ自動車、米国ファラサン、BASF/トヨタ タコマ2列目コンポジットシート構造
トヨタ「タコマ」の2列目コンプライズシート構造は、前世代のスチール製シートよりも30%軽量化され、2022年型トヨタ「タンドラ」に搭載される現行の樹脂製シートよりも20%軽量化されている。また、55以上の部品がわずか4つの部品に統合され、射出成形から出荷までの時間を短縮している。