日本を代表する歴史の長さの「クラウン」
トヨタを代表する「クラウン」は現在最新型の16代目が販売されていますが、初代の発売は1955年と、2025年でブランド創立70周年を迎える歴史の古い車種です。「瀬の本グランプリ 2024」で見かけた1964年式の「トヨペット クラウン」は、当時の面影をそのまま残すノンレストア車。どうしてこの車両が生き残っていたのか、そしてなぜ若い西野さんが所有することになったのか? そのストーリーを伺いしました。
シンプルな構造の古い車両に興味あり
2024年5月5日、子どもの日に熊本県阿蘇郡にある瀬の本高原で開催された「瀬の本グランプリ 2024」で、古いクラウンの隣でとてもお若い面影の男性が来場者の方々と談笑していた。まさかと思い声をかけると、その予感は的中。クラウンのオーナーの西野さんは、2003年生まれの21歳。世間ではZ世代と呼ばれ、物心がついた頃にはスマホでSNSを楽しむのが当たり前のデジタルネイティブ族。そんな彼が、なぜこの車両を選んだのか?
「高校生の頃に旧車がカッコイイという認識が芽生えましたが、クルマには詳しくありませんでした。でも、実際に免許を取る年齢になって何を乗ろうかなと考えたときに、必要最小限のシステムがあって、長く乗れるクルマがいいなという思いに至ったのです」
ご両親を含めて、周囲にクルマ好きがいる環境ではなかった。そのため家族からは「突然変異」と呼ばれているのだとか。そんな西野さんが古い乗り物を意識しはじめたのは、自宅で長年使用しているトラクターだった。
「実家が兼業農家をしているのですが、古いトラクターなどを幼少の頃から見ていて“シンプルな機械ってカッコイイな”という感覚があったのです。電子制御ではなくて、ワイヤーとリンケージで動作系など各部が繋がっている機械ならば、物理的にも何とかなるからずっと乗れるんだなと」
その結果、免許取得後に親に借金をして購入したのが、1966年式のトヨタ3代目「コロナ」だった。西野さんの父親がその昔、5代目コロナ 1600GLを所有していたので、探してみたがさすがに見つからず。地元の旧車繋がりの知人に相談した結果、3代目のコロナが売りに出されていることを知り、その個体を手に入れて日常で活用していたのだった。
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