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米国「ルート66」は最低10日で全線走破可能!? たっぷり満喫するための予算や注意ポイントをお教えします【ルート66旅_66】

カンザス州バクスター・スプリングス。ルート66に架かるレインボー・ブリッジは、1923年に建造された古くも美しいコンクリート橋だ

広大なアメリカを東から西へと結ぶ、3755キロに及ぶ大動脈

1926年に創設されアメリカ西部の発展に寄与し、数多くの映画や音楽でも扱われている「ルート66」。役目を終えて1984年に地図の上から消えるも、マザー・ロードを愛する人たちの情熱が結実し、ヒストリック・ルート66として復活を遂げました。東のシカゴから西のサンタモニカまで近隣の名所を含め、筆者の5回に及ぶ全線走破の経験を元に紹介してきたこの連載で、ルート66やアメリカの魅力が少しでも伝わったでしょうか。最終回は、実際に旅をするときに必要な日数や費用、滞在中に気を付けるべきことを解説します。

1回で全線走破するか、何度かに分けじっくり攻めるか

まず時間が許せばチャレンジしてみたい1回での全線走破は、もしルート66を忠実にトレースすることだけが目的なら、現地での滞在が10日間あればおそらく達成できるはずだ。ただし思わぬ出会いがあって予定外の街に泊まったり、ガイドブックに載っていないスポットが見つかるなど、計画どおりに進まないこともルート66を旅する楽しさ。そのため個人的には最低でも2週間は欲しく、寄り道も入れれば3週間が目安と考えている。

だが今の日本でそこまで長い休暇を取るのは、どんな立場であっても現実的じゃないと思う。それなら西もしくは東の半分でもいいし、さらに細かく区切って旅するのもアリだ。航空券代はその都度かかってしまうが中身は濃くなること確実だし、レンタカーの借り出しと返却が同じ営業所なら乗り捨て料金も不要。ちなみに私が最後に全線走破した際のレンタカー乗り捨て料金は、シカゴで借りてロサンゼルスで返して1000ドルと結構な額だった。

航空券は私が年に何度も渡米していた時期よりだいぶ高く、格安サイトの台湾や韓国を経由する便でも20万円くらい。購入するときに注意してほしいのは出発と到着の時刻で、夜の遅い時間に着いたり早朝に発つ便はなるべく避けよう。行動できる日数が減り旅のスケジュールが制限される。

レンタカーは保証がしっかりしている大手で検索すると、インターミディエイトクラスやフルサイズが2週間で17万円~、コンバーチブルなら25万円~が平均的な価格のようだ。当然ながらガソリン代や宿泊代や食事代は必要だし、お土産なども入れれば総予算70~80万円が目安だろうか。

行けるなら、可能なうちにトライしよう

決して気軽に「行ってみよう」と言えない金額だとは承知しているが、資金があり休暇も取れる状況なら「リタイヤ後に」と先延ばしせず、今すぐルート66の旅にチャレンジしてみるべきだと心の底から思う。今後さらに旅費や物価が上がる可能性は否定できないし、自分に思い描いたような老後が来る保証だってないのだ。

私はつねに「できる環境があるのにしなければ死ぬまで後悔する」と考えており、初めてのルート66全線走破もそんな自分なりのルールに従ってのことだった。結果として出会った人たちとの繋がりや素晴らしい風景など、使った金額をはるかに上まわる経験ができたと思っている。

ルート66旅を安全に楽しむための心がけ3箇条

続いて旅をするときに注意すべきことを3つ。まずは治安でイースト・セントルイスなどごく一部を除き、通らないほうが無難というレベルの地域はごく少ないものの、ここは日本じゃないとの意識だけは必ず持ち続けて欲しい。

次は運転に関してで、日本と異なる交通ルールを調べておくこと、またガソリンは燃料計のおよそ半分を目安に補給しておくこと。JAFの会員なら提携しているアメリカのAAAで同等のサービスを受けられるが、場所によっては何時間もかかる場合がありその間に犯罪に遭わないとも限らない。

もうひとつは注意じゃなく楽しむための心がけを。英語が苦手なせいで現地で話しかけられたとき消極的になるのはやめて、単語の羅列でも身振り手振りでも積極的にコミュニケーションを取ろう。個人的にはアメリカほど英語が不得意な人に対して上手に接する国はないと思っているし、今なら翻訳アプリも高性能で、電子辞書を手放せなかった私が渡米し始めのころとは大違いだ。

次なるルート66旅に向けて準備中

世界中が大混乱に陥ったコロナ禍のせいで、中断を余儀なくされていたアメリカの旅。現地の友人たちとは連絡を取り続けているが、ようやくライフワークを再開するときが来た。東日本大震災の当日に宿泊していたモーテルのオーナーで、何かにつけて支えてもらい後に家族ぐるみで仲よくなったリサが、来年の3月に80歳を迎え仲間たちが盛大なパーティーを開くという。それに参加しながらアリゾナ州とカリフォルニア州のルート66を走り、可能であればニューメキシコ州まで足を伸ばしたいと考えている。

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最後に私の旅を記事として連載させてくれたAMW編集部と、66回の長きにわたり付き合ってくれた読者のみなさんに感謝して締めたい。これがきっかけでルート66に興味を持った方、いつの日かアメリカの路上でお会いしましょう!

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