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大卒10年後、憧れのホンダ初代「NSX」を購入! 定年まであと10年…主治医と修理箇所を相談して乗り続けます

1991年式のホンダ NSXとオーナーの“shinchiyan3740”さん

当時のスポーツカーの最高峰だって、トラブルはつきもの

1980年代中盤から約10年間、F1が日本で大流行したきっかけはホンダのF1参戦第2期での活躍だったことはいうまでもありません。そんなホンダF1の黄金期に世界にその技術力をPRすべく開発され、和製スーパーカーと呼ばれたのが初代「NSX」でした。登場からすでに34年。ネオクラシックと呼ばれるジャンルに足を踏み入れた当時の最新スーパースポーツカーを現実的に楽しむための秘訣を、“shinchiyan3740”さんから教えてもらいました。

トラブルとの上手な付き合い方こそ、旧車オーナーになる極意

リトラクタブルヘッドライトを持つ国産スポーツカーの最高峰といえば、ホンダ「NSX」と言っても過言ではないだろう。2024年5月4日に福岡県北九州市にあるひびき海の公園で開催された「RETRA JAM(リトラクタブルカージャンボリー)Vol.2」に参加していたNSXの中でも、鈴鹿サーキットでの写真など、愛あふれる展示をされていたオーナーが“shinchiyan3740”さんだった。

愛車との思い出話をお聞きしている途中で盛り上がったのが、過去のトラブルにまつわるもの。その中でも驚かされたのがこんなひと言だった。

「今回は前泊で参加したのですが、昨日の道中で水温が上がってしまいました。まったく下がる気配がなく、一般道の停車可能な広い路肩を見つけて一時停車。電話口で状況を確認してくれた主治医がトラブル解消のため、この会場にパーツを持ってきて交換してくれることになっています」

その言葉に嘘偽りなく、それからほどなくして“shinchiyan3740”さんが主治医と呼ぶ長崎県長崎市のカーショップ「セントラル」が現地に到着。挨拶もそこそこにボンネットを開けると、さっそくパーツ交換をはじめたのだ。

「昨日の電話相談の際に、おそらく電動ファンのモーター不良だろうという結論になりました。たまたま主治医がこのリトラジャムに興味を持っていたこともあり、イベント視察も兼ねて対応品を持って来てくれたのです」

今回装着していた部品は、あくまでもノントラブルで帰宅するための、主治医が持ってきてくれた代替品。地元まで帰って主治医のお店セントラルに入庫したら、そこで“shinchiyan3740”さん用のパーツを注文して交換。この会場で交換した代替えパーツは返却、という段取りなのだそうだ。

ちなみに、このトラブルが起こって電話相談をした後の続きの話。渋滞解消と夕暮れを待つために結局2時間30分その場で待機。その後、水温計とにらめっこしながらホテルへ移動。翌イベント当日の朝も、気温が上がる前に早々と会場入りして、搬入時間が来るのを待っていたそう。しかし、そんな苦労を乗り越えながらもこの愛車を大切に、かつ乗って楽しむことを忘れない“shinchiyan3740”さんの心意気が、とても頼もしく見えた。

>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)

使える予算と修理箇所のバランスを熟考し乗り続ける

「大学を卒業して入社したのが1990年。ちょうどそのタイミングでNSXがデビューしたのですが、新卒の自分にはとても手が出せる車両ではありませんでした。でも、憧れだけでは終わらせたくないと、少しずつ購入資金を貯蓄。10年ほど資金を準備して、ようやく手に入れたのがこの愛車なのです」

5速MT車を探していたけれど、中古車市場の多くがAT車でなかなか見つからず……。しかし、たまたま通りかかった地元の長崎県にあるスポーツカー専門店で、この個体が並んでいるのを目撃。この個体の整備記録などを確認させてもらい、約1カ月間熟考の後に正式に契約へこぎつけた念願のNSXなのだ。

「今までも、クラッチ交換やミッションオーバーホールなどを実施しています。あと10年で私は定年になるのですが、それまで元気に走らせるためには、そろそろエンジンのオーバーホールも必要。でも、私の人生の資金のバランスもありますから。そのために、主治医と細かく相談して今後の修理箇所を細かくリスト化。それに沿って、オーバーホールなどを進めていくことになっています」

“shinchiyan3740”さんが気になっていて、修理したいと考えている箇所。それ以外にも、プロの観点から修理が必要な箇所。そして、気にはなるけど必ずしも最優先ではない箇所。そういった洗い出し作業を経て、これからの作業に入っていくのだという。

「今はオーディオが壊れているんですけどね。走りには直結しないのでずっと我慢しています(笑)」

古いクルマに乗るということは、それなりの労力がかかるのは想像できる。お金、時間といった余裕がなければ楽しめない。しかし、決してお金をかけたからといって、自分が望む楽しいマイカーライフを送れるという確約もない。自分の思いをしっかりと理解してくれる主治医との出会いと、周囲を納得させることができる愛車への情熱が大切なのだと実感した取材だった。

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