新型アルトゥーラ トロフィーEVOがマクラーレン・トロフィーレースにさらなる興奮をもたらす
マクラーレン・モータースポーツは、2025年シーズンから3.0L V6ツインターボエンジンを搭載した新型「アルトゥーラ トロフィーEVO」レースカーがワンメイクレースであるマクラーレン・トロフィーに参加できるようになると発表しました。また新たにプロカテゴリーを設立し、新しいマクラーレン・トロフィー・アカデミー・プログラムで育成された才能ある若いプロカテゴリードライバーがファクトリードライバー・プログラムに参加できるチャンスが拡大しました。この新型モデルと一連のマクラーレン・トロフィーへの取り組みについて見ていきましょう。
マクラーレン・トロフィー選手権に新風を吹き込む
マクラーレン・モータースポーツは、2025年よりマクラーレン・トロフィーのパフォーマンスと興奮のレベルをさらに向上させる新しいモデル、「アルトゥーラ トロフィーEVO」を発表した。また新しく導入されたプロカテゴリーとマクラーレン・トロフィー・アカデミー・プログラムにより、選手権にさらなる活気がもたらされる。
アルトゥーラ トロフィーEVOは、新型アルトゥーラ スパイダーとクーペの性能強化と並行して、よりアグレッシブなレースカーとなり、ラップタイムの短縮を実現する変更が加えられている。
2025年シーズンから新たに設立されたマクラーレン・トロフィー選手権 (アメリカ)への参加資格が与えられるアルトゥーラ トロフィーEVOは、先代モデルのパワーを新たなレベルに引き上げ、ドライバーは「プッシュ・トゥ・パス」ボタンにより、3.0L V6ツインターボエンジンから得られる585psの最高出力を最大620psまで引き上げることができる。このシステムの使用は制限され、ドライバーの戦略オプションを増やす。
パワーを最大限に活用できるよう改良されたタイヤとブレーキ性能
アルトゥーラ トロフィーEVOは、ドライバーが利用できる追加されたパワーを最大限に活用できるように設計されたより幅広のタイヤを採用し、より攻撃的な外観になったことにより、前モデルとは容易に区別することができる。さらに、空力特性を考慮したスタイリングでは、改良されたフロントバンパーとボンネットアウトレットを組み込んだより目立つフロントデザインが採用され、ブレーキとエンジン冷却が改善されている。
幅広くなったホイールアーチにはフロントに285mm、リアに315mmのタイヤが収められ、フロントアーチにはフロントリフトを低減する大型のルーバーが組み込まれている。より幅広のタイヤ(それぞれ265と305からアップ)は、2ウェイ調整式ダンパーと剛性の高いアンチロールバーで制御される新しいアップライトを介して、追加されたパワーを地面に伝達し、チームに調整の余地を大きく提供する。
目立つバットレススクープの追加により、リアブレーキの冷却が改善され、新しいビレットアップライトは、ドライバーに優れたブレーキフィールをもたらすとともに、接近戦での耐久性も向上させる。
既存のマシンをアルトゥーラ トロフィーEVO仕様にアップグレードできる
アルトゥーラ トロフィーEVOの変更は広範囲にわたるため、新車は生産ラインモデルから製造され、マクラーレン・トロフィー・ワンメイクレース用の特注レーシングカーとなる。既存の「アルトゥーラGT4」または「アルトゥーラ トロフィー」のユーザーは、アルトゥーラ トロフィーEVO仕様にアップグレードすることができる。
この変更により、トラクションと安定性が大幅に向上し、ドライバーはマシンに大きな信頼を寄せられるようになり、マクラーレン・トロフィー選手権に参加するドライバーは、「プッシュ・トゥ・パス」システムと併せて、さらにエキサイティングなレースを体験できることになる。
将来のマクラーレンのチャンピオンを発掘し、育成する
よりパワフルで高速なアルトゥーラ トロフィーEVOは、ヨーロッパとアメリカの両選手権に新たにプロカテゴリーが導入されるのに合わせて登場する。シルバー・ソロまたはシルバー/シルバーのペアが参加できるプロクラスは、GTレースでのキャリアを目指すプロのドライバーを育成することを目的としている。彼らの成長を支援するため、26歳以下のマクラーレン・トロフィー・シルバークラス全ドライバーは、自動的にマクラーレン・トロフィー・アカデミーにも登録される。
将来のマクラーレンのチャンピオンを発掘し、育成することを目的としたマクラーレン・トロフィー・アカデミーは、レース週末にワークショップを開催する育成プログラムである。これらのワークショップは、若いドライバーの育成を目的とし、マクラーレン・モータースポーツの専門知識を共有し、ドライビングスキル、モータースポーツエンジニアリング、メディアトレーニングに重点を置く。
世界選手権へのステップアップとなるマクラーレン・トロフィー
また、マクラーレン・トロフィー・アカデミーのメンバーは、マクラーレン・ファクトリードライバープログラムへの道も開かれる。ヨーロッパとアメリカの両方でプロカテゴリーのチャンピオンとなったドライバーは、毎年開催されるマクラーレン・ヤングドライバー・スクートアウトへの出場権を自動的に獲得し、その勝者はマクラーレン・グラデュエートに選ばれ、マクラーレン・ファクトリードライバーになるためのプロセスを開始することになる。
2023年にヨーロッパを拠点とするシリーズとして設立されたマクラーレン・トロフィーは、3年目のシーズンには北米にも拡大し、両大陸で並行して選手権が開催される。初心者からベテランドライバーまで参加可能で、アマチュアおよびプロのレーサーに挑戦する場として、また、マクラーレンがFIA世界耐久選手権やIMSAへの参戦を通じて存在感を高めている国際的なGTレースへの登竜門として位置づけられている。今年、マクラーレンのワンメイク選手権でレースデビューを果たしたブレンダン・イルベは、ル・マンでマクラーレンGT3 EVOを走らせるという夢を叶えた。
AMWノミカタ
2022年7月にスタートしたマクラーレン・トロフィーは、アマチュア(ブロンズ)ドライバーに重点を置き、意欲的なGTドライバーに挑戦することを目的としたプロアマ選手権である。マクラーレン・トロフィーにはアルトゥーラ トロフィーと570Sトロフィーの2つのクラスが設けられる。
スパ24時間レースを含む、イタリア、ベルギー、ドイツ、スペインで開催される5つのイベントで10ラウンドを戦うレースだが、残すところ9月のモンツァと10月のバルセロナの計4戦となった。
2025年からは新たにアルトゥーラ・トロフィー・アメリカを開催し、参加する若手プロドライバーの数も多くなる。これによりメーカーとしてはより多くの才能を発掘することができるとともに、より多くのドライバーにファクトリードライバーへの道が開けた。マクラーレンの系統立てられた育成プログラムの中での激しい戦いからどのような新しいスターが生まれてくるのか期待したい。