40型ランクルの根強い人気が落札価格に反映
2024年5月31日〜6月1日にRMサザビーズがカナダ・トロントで開催したオークションにおいてトヨタFJ40型「ランドクルーザー」が出品されました。年式は1980年とのことで、仕様的にもほぼ最終型。履歴を調べていくと、もともとカナダのブリティッシュコロンビア州のオーナーに新車売却されたものでした。
24年にもわたり生産されたモデル
乗用車とは言えないので同列比較は出来ないが、「ランドクルーザー」は現行トヨタのラインナップの中で最も長い歴史を誇るモデルであり、その誕生は1951年にまでさかのぼる。そして正式な世代数は確かではないが、現在に至るまで後継モデルが連綿と生産され続けている。そうした中でランドクルーザーの存在を決定づけたモデルと言えるのが、RMサザビーズオークションに登場した「40型」と呼ばれる第3世代のモデルである。
その最大の特徴のひとつが、過去2世代がどちらかと言えば民需ではなく官需を想定して作られた(民間にも販売されていたが)のに対し、40型は少なくとも初めて民需を強く意識した構造やデザインなどをもって作られたことである。そしてそれまで4~5年で繰り返してきたモデルチェンジが、この世代ではじつに24年もの長きにわたって生産し続けられたことも、その根強い人気の裏打ちである。
FJ40と呼ばれるこの世代は、1960年〜1984年まで生産されている。つまり、最も新しいモデルでもすでに誕生から40年が経過していることになり、ネオクラシックとしての資格があるクルマだ。当然ながらパーツ供給などに不安を持つユーザーも多いだろう。そんなことを見越してか、トヨタはGAZOO Racingから復刻パーツを供給することを2021年にアナウンスしているから、そんな不安も解消されるはずである。
型式名はF型エンジンを搭載したジープに由来
前述した通りFJ40型ランドクルーザーのデビューは1960年である。当初からボディバリエーションには2ドアソフトトップ、2ドアハードトップ、4ドアステーションワゴン、2ドアピックアップトラックなどの用意があった。そもそも最初期のモデルが「BJ」、その後「FJ」という型式で語られるランドクルーザーだが、この型式名は、初期モデルがB型エンジンを搭載したジープ型モデル、そしてFJはF型エンジンを搭載したジープ型モデルという名称だったそうで、ジープがそのお手本となったことが明確に表されている。そしてこのFJ40の人気が非常に高かったことから、そのオマージュとして後に「FJクルーザー」が北米でリリースされたことは誰もが知るところだろう。
ジープ型を名乗る大きな理由は、もともと日本軍がフィリピンにおいてジープを捕獲し、それに似たクルマをトヨタに作らせたのがその起源と言われている。はたしてそれがどのジープであったのか(トヨタは明らかにしていないという)、つまりウィリス「ジープ」であったのか、あるいはフォード「GPW」であったのか、はたまたアメリカンバンタムの「BCR60」であったのかは定かではない。
いずれにせよ、アメリカ製の4WDモデルをコピーして作られたのが最初のランドクルーザーだったということである。もっともその当時ランドクルーザーという名前は使われておらず、初期モデルは単に「トヨタ ジープ BJ」型と呼ばれた。ランドクルーザーの名が使われたのは1954年からのことである。
そのランドクルーザーの名前が使われるようになった1954年に、トヨタはB型よりさらに強力なF型エンジンを初めて搭載することになる。初期のF型エンジンは3.9L 106psのものであった。