きれいに文字を見せるための技術も必要
タイヤには、メーカー名やブランド名などがサイドウォール(側面)に描かれています。その文字がタイヤの色である黒のままではなく、白い色を使って表現しているタイヤがあります。「ホワイトレター」と呼ばれるこの白い文字の製造方法をご存知でしょうか。
黒いゴムを流し込んでから白いゴムを流し込む
いまホワイトレタータイヤが人気だ。側面に白文字が入っているこのタイヤ、どうやって白い文字を入れるのだろうか? 白い塗料を上から塗っているのではないか? と思っている人も多いはずだ。
今回はタイにある横浜ゴムの生産拠点であるYTMT(ヨコハマタイヤ・マニュファクチャラー・タイランド)で、実際にそのホワイトレタータイヤをカットしたものを見せてもらうことができた。
ホワイトレタータイヤの製造方法は簡単に言うと、黒いゴムと白いゴムの2種類を用意。それを順番に重ね、タイヤの側面の凹凸の表面を削って作り上げることになる。我々が見る商品自体は、実際に削ってしまった後のため、どのように白い文字ができているかわからないが、その断面をカットしたものを見せてもらうとその仕組みもわかるだろう。
1番外側は黒いゴム、その次に白いゴムを流し入れているので、サンドイッチ状態である。それにより表面の最初に流した黒いゴムの部分だけをカットすれば白い文字が浮かび上がるようになる。
また、タイヤを成型する際に、金型からエア抜き用の穴に若干ゴムが流れこんで「ヒゲ」ができるが、この「ヒゲ」も「白髪のヒゲ」になっていることからわかるように、白いゴムが注入されていることがわかるだろう(実際の商品ではここまでの長さがあるかは不明なので新品タイヤで「白髪のヒゲ」が見れるかどうかは分からないが……)。
この白いレターは、プリントでも塗りでもないため、少しこすったくらいでは落ちることもない。時間が経っても文字の白い部分だけがひび割れることや剥がれることはないので安心して使ってほしい。