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軽自動車初のスポーツカー、スズキ「フロンテクーペ」に試乗! 2ストにビビりつつも極上のドライビングマシンでした【旧車ソムリエ】

軽自動車初のスポーツカー、スズキ「フロンテクーペ」に試乗! 2ストにビビりつつも極上のドライビングマシンでした【旧車ソムリエ】

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 神村 聖(KAMIMURA Satoshi)

  • スズキ フロンテクーペ GX:2シーターモデルは最初期の約1年しか生産されなかった希少な存在
  • スズキ フロンテクーペ GX:デビュー当初は「ふたりだけのクーペ」というキャッチフレーズとともに、2シーターのみのラインアップだった
  • スズキ フロンテクーペ GX:当時の軽としてはかなり凝ったデザインのフロントグリル
  • スズキ フロンテクーペ GX:デビュー当初のグレード構成はGE、GER、そして最上級がGXだった
  • スズキ フロンテクーペ GX:軽さとエアロダイナミクスが追求されたフェンダーミラー
  • スズキ フロンテクーペ GX:フロントフードのガーニッシュも洒落たデザイン
  • スズキ フロンテクーペ GX:10インチの合わせホイールにクロームメッキのホイールキャップなど、当時さながらのディテールも残る
  • スズキ フロンテクーペ GX:ドアバイザーも装着
  • スズキ フロンテクーペ GX:リアのエンジンフードには「FRONTE」のエンブレム
  • スズキ フロンテクーペ GX:フロンテクーペの販売価格は43万3000円(東京価格)~だった
  • スズキ フロンテクーペ GX:エンジンルームにつながるリアサイドダクトは左右で向きが異なる。左側は吸気用
  • スズキ フロンテクーペ GX:エンジンルームにつながるリアサイドダクトは左右で向きが異なる。右側は排気用
  • スズキ フロンテクーペ GX:リアのエンジンフードは下ヒンジで開口する
  • スズキ フロンテクーペ GX:水冷2ストローク3気筒のエンジンは最高出力37ps/6500rpm
  • スズキ フロンテクーペ GX:スズキ独自の分離型給油システム「CCIS」は、オイルポンプにより新鮮なオイルをコンロッド大端部、クランクベアリング、シリンダーなどのエンジン主要部分に直接給油する方式
  • スズキ フロンテクーペ GX:フロントフードの内部にはラジエターにアクセスするためのフタ
  • スズキ フロンテクーペ GX:メインラジエターとサブラジエターを直列に連結。冷却水の全量をヒーターの熱源とする、デュアルラジエターシステムを採用していた
  • スズキ フロンテクーペ GX:フロントフードとフロントフェンダーにはFRPを採用していた
  • スズキ フロンテクーペ GX:細身のウッド(風?)ステアリングホイール
  • スズキ フロンテクーペ GX:リアからリンケージで引っ張ってくる4速MTのシフトフィールは、予想していたよりも節度感があり正確
  • スズキ フロンテクーペ GX:足もとのペダルレイアウトにも不自然さはなく、足さばきに過度の緊張感を強いられることもない
  • スズキ フロンテクーペ GX:速度計は140km/hまで刻まれ、回転計が示すレヴリミットは7800rpm付近
  • スズキ フロンテクーペ GX:ダッシュのセンター部分にも各種メーターが備わりコクピット感を演出
  • スズキ フロンテクーペ GX:ラジオや空調のスイッチ類も当時の雰囲気を残す
  • スズキ フロンテクーペ GX:往時のトレンドを再現したドアパネルの「DUNLOP」ステッカーはオーナーによる演出
  • スズキ フロンテクーペ GX:車内は手足を充分に伸ばせるドライビングポジションとされ、セミバケットシートのヘッドレストには「FRONTE」の文字も刻まれている
  • スズキ フロンテクーペ GX:2シーター仕様ゆえ車内後部は荷室となる
  • スズキ フロンテクーペ GX:全長3m足らずのサイズとはとても思えないような、流麗さすら感じられるスタイル
  • スズキ フロンテクーペ GX:パワーバンドを保つ走りにいくらか慣れてくると体感できるのは、超絶スムーズな回転フィールと、ちょっと油断するとすぐにレヴリミットまで吹けきってしまいそうになる、シャープな吹け上がり
  • スズキ フロンテクーペ GX:ボディサイズは全長2995mm×全幅1295mm×全高1200mmでホイールベース2010mm。車両重量は480kg
  • スズキ フロンテクーペ GX:デビュー当初は「ふたりだけのクーペ」というキャッチフレーズとともに、2シーターのみのラインアップだった

1972年式 スズキ フロンテクーペGX

「クラシックカーって実際に運転してみると、どうなの……?」という疑問にお答えするべくスタートした、クラシック/ヤングタイマーのクルマを対象とするテストドライブ企画「旧車ソムリエ」。今回は、軽自動車初の本格的スポーツカーとして知られるスズキ「フロンテクーペ」を主役に選び、そのモデル概要とドライブインプレッションをお届けします。

群雄割拠の360cc軽自動車たちとは一線を画したスポーツカー

1967年にホンダが31psを標榜する「N360」を発売して以来、日本の軽自動車業界は「パワーウォーズ」に突入。「スバル360 ヤングSS」やホンダ「N360T」系、鈴木自動車(現スズキ)「フロンテSS」など、リッターあたり100psに相当するモデルが続々と出現したうえに、ダイハツ「フェローMAX SS」では40psをマークするまでに至った。

そして、ホンダが次なる矢として1969年10月に個性的なクーペボディを持つ「Z360」を登場させると、三菱も同年の東京モーターショーに出品させた「ミニカ スキッパー」を1971年5月から正式発売。さらにダイハツも1971年8月から「フェローMAXハードトップ」を投入するなど、軽自動車界ではスペシャリティクーペが一大勢力を築いてゆくことになった。

そんな中にあって、鈴木自動車が1971年9月に正式リリースした「フロンテクーペ」は、デビュー当初「ふたりだけのクーペ」というキャッチフレーズとともに、2シーターのみのラインアップとした。しかも、競技用のパーツも純正オプションとして多数用意されたことから、軽自動車では初となる「本格派スポーツカー」としてのキャラクターが前面に押し出されることになったとされている。

ジウジアーロと鈴木自動車デザインチームの「合作」

そんなフロンテクーペにおける最大の特徴は、巷では「ジウジアーロのデザイン」といわれるスタイリッシュなクーペボディだろう。

「ベルトーネ」および「ギア」でキャリアを築き上げ、現在では巨匠として知られるジョルジェット・ジウジアーロ氏が独立ののち興した「イタルデザイン」社と、鈴木自動車の協業の第1作となったのが、1969年から市販に入った軽商用バン「キャリイ」(L40型)である。またジウジアーロはそのかたわらで、本人いわく「より大きなクルマの縮小コピーに過ぎなかった従来の日本のマイクロカーに変革をもたらす」ことを目的とした、極めてスタイリッシュなコンセプトを鈴木自動車に提唱していた。

それはL40と同じく、ミニマリズム的に簡潔な面構成で仕立てた2ドアのファストバック型セダン。ところが、このイタルデザインのプロポーザル案は時代を先取りし過ぎていると判断されたことから、あくまで「原案」に留められ、鈴木自動車内のデザインチームによってスポーツモデルへと方針転換。設計部門所属の若手デザイナー、内藤安弘氏がより低いスポーツカースタイルへと大幅に手直ししたものを最終デザインとして採用した結果、「フロンテクーペ」として市販されたとのことである。

水冷2ストローク3気筒のエンジンをリアに置き、後輪を駆動するというRRレイアウトは同時代のセダン版「フロンテ」と共通。パワーは当初37ps(JIS)とされたが、のちに34psおよび31psの廉価バージョンも設定されたとのことである。

また、2シーター単一の体制が当時の国内マーケットには受け入れられなかったことから、デビューから5カ月後の1972年2月には2+2版が追加され、早々に主力となってゆく。

そして、1975年に軽自動車の規格が変更された際には、拡幅したボディに550ccのエンジンを載せた初代「セルボ」として翌1976年6月に再デビューを図ったものの、フロンテクーペが純粋なマイクロスポーツだったのに対し、後継のセルボは、主に女性ユーザーをターゲットとしたパーソナルクーペへと路線変更されていたという。

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