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高齢者の逆走に実際に遭遇! 老人は道が空いていると勘違い!? 抜本的な対策には強制的な「何か」が必要かも【Key’s note】

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TEXT: 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)  PHOTO: 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)

  • 逆走の看板
  • 70歳以上に装着を求めている高齢者マーク
  • 筆者は高速道路走行中に遭遇した逆走する高齢ドライバーの顔が見えたそう(写真はイメージ)
  • 高速道路で発生した痛ましい事故(写真はイメージ)
  • 高速道路のサービスエリアなどに設置されている逆走抑止の看板
  • 高速道路のサービスエリアなどに設置されている逆走抑止の看板

逆走による事故はなくならない

レーシングドライバーであり自動車評論家でもある木下隆之氏が、いま気になる「key word」から徒然なるままに語る「Key’s note」。今回のキーワードは「高齢者の高速道路逆走」についてです。なくならない高速道路での逆走により、悲惨な事故が発生しています。筆者も実際に遭遇したことがあるという社会問題を解決するにはどうすれば?

なんと筆者も遭遇していた

高速道路の逆走に関するこんな小話があります。

とある老人が運転中、ラジオからこんなニュースが流れてきました。

「緊急ニュースです。◯◯高速道路で1台のクルマが逆走している模様、走行中の方は気をつけてください」

それを聞いた老人は、こう呟きました。

「まったくアホな運転手がいたものだ。でも、逆走しているのは1台じゃない。たくさんいるぞ」

いやはや、あくまで小話ですが、決して笑ってすませられるものではありませんよね。

これは真理をついています。高速道路を逆走している運転手は、自分が逆走している自覚がないのでしょう。そうでなければ、逆走したまま1kmも5kmも走行し続けられるはずがありません。

逆走を注意喚起する看板

数年前ですが、わたしは高速道路の逆走に遭遇したことがあります。電光掲示板では「逆走車あり」が表示されていました。ですから、順走するわれわれのクルマは、恐る恐る左側に寄り、つまり逆走してくるであろう追い越し車線をあけてスロー走行していました。

そこに逆走車が現れました。予想どおりに追い越し車線を悠々と走行。まったく躊躇することなく、直進してきました。運転する老人の顔がはっきりと見えましたが、うろたえる様子はありませんでした。

そこで想像したのは、逆走車の老人の心理です。おそらく老人の目にはこう映っていたのではないかと想像します。

「道は空いているなあ。それにしても、対向車線は混雑しているぞ。かわいそうに……」

自らが逆走している追い越し車線は、掲示板からの情報により衝突することを避けているのですから誰も走っていません。ですが、老人にとっては対向車線に見える本来の走行車線は、恐る恐る走るクルマによって“渋滞している”ように見えるはずです。

物理的な対策など講じなければ解決しないのか……

つまり、老人はずっと逆走であることに気づかないのです。冒頭の小話は決して笑い話ではありません。正しく走っている僕たちは、注意喚起の掲示板情報によって救われたのですが、逆走する運転手にとって、この状況はとても都合のいいことだったのです。

かといって、掲示板情報を消せばいいとはまったく思いませんが、その事実を理解したうえで、対策を講じる必要があります。

度重なる痛ましい逆走事故を防ぐために、さまざまなアイデアが企画されているようですが、矢印での路面標示やラバーポールでの進行方向案内では、逆走事故は防げないと思います。

大変酷な言いかたですが、逆走している本人は、その程度の策には気づかずに逆路に進入してきているのです。逆走事故がいまだに報道されているのがその証拠。これまでの対策が無意味だとは思いませんが、もっとドラスティックな施策が必要だと思います。進入すると強制的にクルマが進まなくなるようなストッパーであったり、タイヤがパンクしてしまうような路面だったり……。一刻も早く抜本的な対策を講じてほしいものですね。

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  • 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
  • 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
  • 1960年5月5日生まれ。明治学院大学経済学部卒業。体育会自動車部主将。日本学生チャンピオン。出版社編集部勤務後にレーシングドライバー、シャーナリストに転身。日産、トヨタ、三菱のメーカー契約。全日本、欧州のレースでシリーズチャンピオンを獲得。スーパー耐久史上最多勝利数記録を更新中。伝統的なニュルブルクリンク24時間レースには日本人最多出場、最速タイム、最高位を保持。2018年はブランパンGTアジアシリーズに参戦。シリーズチャンピオン獲得。レクサスブランドアドバイザー。現在はトーヨータイヤのアンバサダーに就任。レース活動と並行して、積極的にマスコミへの出演、執筆活動をこなす。テレビ出演の他、自動車雑誌および一般男性誌に多数執筆。数誌に連載レギュラーページを持つ。日本カーオブザイヤー選考委員。日本モータージャーナリスト協会所属。日本ボートオブザイヤー選考委員。
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