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右ハン ポルシェ「911ターボ3.6」が強気の5000万円以上! オプション満載でも高すぎた?…わずか159台生産されたうちの1台でした

25万~30万ポンド(約5000万円~6000万円)で販売継続中のポルシェ「911 ターボ3.6」(C)Courtesy of RM Sotheby's

希少な右ハンドル仕様車が出品された

2024年6月12日にRMサザビーズがイギリス・ロンドンで開催したオークションにおいてポルシェ「911ターボ3.6」が出品されました。同車は、ポルシェの工場からデリバリーされた台数が1500台にも満たなかったモデルのなかでも、わずか159台しか生産されていない右ハンドル車仕様でした。

わずか2年のみ作られた「911ターボ3.6」

ポルシェ「911」の歴史を振り返ってみても、つねにその圧倒的なハイパワーでカスタマーの目を魅了し続けたのが、一連のターボモデルであることは、誰もが否定し得ないところだろう。その911ターボ、正確には964世代の911ターボが、RMサザビーズのクリブデン・ハウス・オークションに出品された。

その年式は1994年というから、964型911の生産が終了するわずか2年前のモデル。ちなみに964世代のターボには、930型からそのまま流用された3.3Lバージョンと、新開発された3.6Lの両バージョンがあるが、今回オークションに出品されたのは1994年と1995年のわずか2年のみに生産された後者の方である。

新たにリアに搭載されたエンジンは、排気量を3.6Lに拡大したM64/50型水平対向6気筒。最高出力と最大トルクは各々360ps、520Nmという値で、これは1992年と1993年に少数が生産されたターボSの3.3Lユニット、M30/69SL型にはわずかに及ばなかったものの、それでもスタンダードな3.3Lと比較すると最高出力では40psものアドバンテージを持つものだった。

ラバー素材で縁取られた「ティートレイ」のようなリアウイングの下には、このタイプM64/50型エンジンに組み合わされる大型のKKK製ターボチャージャーが1基搭載され、さらにゲトラグ製のG50型5速マニュアル・ギアボックスが装備された。

ちなみにこのエンジンへの燃料供給はKEジェトロニックによって行われる仕組みだ。さらにはリミテッド・スリップ・デフ、それまでのターボSで用いられていた赤いキャリパーを採用したブレーキシステム、スピードライン製の18インチ径3ピースホイール、20mmがローダウンされるサスペンションキットなど、ターボの専用装備は走りを意識したものが多かった。

出品車にはサンルーフ付き

出品車の仕様をさらに確認してみる。3.6L仕様の964型911ターボがわずか2年のみの生産であったことは前でも触れたが、この短期間にポルシェの工場からデリバリーされた台数は1500台にも満たなかった。この出品車は、その中でもわずか159台しか生産されていない右ハンドル車で、ニュージーランド人の最初のオーナーは、オーダー時にパワーサンルーフ、スモークトップウインドスクリーン、パワーアジャスタブルシート用のより高級なレザー素材、18インチのポリッシュホイールリムなどのオプションを選択していた。

さらにその後エンジンの最高出力を385psにまで高める「X88」アップグレードが施され、カムシャフトやターボチャージャーが改良された。

その後ニュージーランドから2016年にイギリスへと渡ったこの個体は、2018年に今回のオークションでの出品者の手に渡る。2019年には新しいアンチロールバーとスプリングがポルシェのスペシャリスト、パラゴンによって装備されスピードメーターも交換されたが、オドメーターはそれまでの距離と合わせたと考えられている。現在示されている数字は8万6932kmだ。このクルマにはヒストリーファイルのほか、オーナーズマニュアル、ジャッキ、スペースセーバースペアホイール、ツールロールも付属。2024年の3月にはイギリスのMoT(車検)にも合格している。

RMサザビーズは、この1994年式のポルシェ911ターボ3.6に、25万~30万ポンド(約5000万円~6000万円)のエスティメート(落札予想価格)を掲げたが、残念ながら今回は落札に至ることはなかった。その希少価値、そして車両自体のコンディションを考えれば、落札を狙っていたポルシェ・ファンはきっと多かったに違いないはずなのだが……。

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