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ホンダ新型「シビックRS」のプロトタイプに乗った!「タイプR」とは違う気持ちよさが楽しい! エンジンレスポンスの鋭さに感動【Key’s note】

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TEXT: 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)  PHOTO: 大西 靖(ONISHI Yasushi)

  • 木下さんとシビックRS
  • ホンダ シビックRS:スポーティなシフトノブを採用した6速MT。ドライブモードスイッチも備わる
  • ホンダ シビックRS:9インチHonda CONNECTディスプレイなどの装備で先進的なインパネ
  • ホンダ シビックRS:スポーティな走りを支えるフロントシート
  • ホンダ シビックRS:リアシート表皮もスポーティな雰囲気
  • ホンダ シビックRS:クローズドコースでの試乗となった。走りの気持ちよさをとことん追求している
  • ホンダ シビックRS:タイプRと同じような大型リアウイングは装着していない
  • ホンダ シビックRS:ベルリナブラックにペイントされた18インチアルミホイールとRS専用サスペンションを装備
  • ホンダ シビックRS:ディフューザー形状も採用したリアバンパー
  • ホンダ シビックRS:精悍なディテールのフロントマスク
  • ホンダ シビックRS:1.5L直噴ターボエンジンを搭載
  • ホンダ シビックRS:試乗したのはクリスタルブラック・パール
  • ホンダ シビックRS:外観はRSグレード以外と大きく変わらない
  • ホンダ シビックRS:フロントグリルにはRSのロゴがデザインされる
  • クローズドコースでシビックRSプロトタイプを試乗した筆者

タイプRほどの刺激は欲しくない走り好きにオススメ

レーシングドライバーであり自動車評論家でもある木下隆之氏が、いま気になる「key word」から徒然なるままに語る「Key’s note」。今回のキーワードは「ホンダ シビックRS」。ホンダを代表する名車「シビック」、同車を愛するファンにはたまらないグレード「RS」が現行モデルにも登場します。プロトタイプに試乗したレポートをお届け。タイプRとも違う、RSの走りとは?

RSの名に恥じない仕上がりに

ホンダ「シビック」のマイナーチェンジでもっとも興奮したのは、「RS」グレードの復活だ。

1972年誕生の初代シビックに、走りの性能を際立たせたRSが存在していた。そのポジションを現行ではタイプRが踏襲しているように思われている。だが、タイプRは超激辛スポーツにまで昇華し、ボディサイズも拡大している。それを過剰すぎると持て余してしまい、シビックが描くスポーツの世界に踏み切れないユーザーも少なくないと聞く。

ターゲットはそこだ。タイプRほどの過激な性能は求めないものの、標準グレードで満足できない、いわば「ちょうどいい」スポーツ性能を盛り込んだのがRSというわけなのだ。

フロントグリルは「アコード」風の台形になり、より精悍な顔つきになった。ディテールはほとんどブラック化している。インテリアもブラックを基調としており、パイピングはレッド。いかにも走りのモデルであることを主張する。

搭載するエンジンは直列4気筒1.5Lターボであり、6速MTと組み合わされる。ハイブリッドの設定はない。182psの最高出力と240Nmの最大トルクに変更はない。

そう、ここまでの情報から想像できるのは、動力性能や操縦性はこれまでの標準のシビックのレベルであり、アピアランスだけを強調した「似非スポーティモデル」。ただ雰囲気だけをアグレッシブにしただけの軟弱モデルだと……。だがホンダは、数値に現れない特性を徹底的に磨き上げたのだ。

走りはじめた瞬間に驚かされたのは、エンジンレスポンスが鋭いこと。アクセルペダルの踏み込みに対して軽やかにパワーがみなぎる。スペック上での差はないが、パワーアップしたかのような印象だ。しかも、アクセルオフでの回転のドロップが素早い。フライホイールの回転慣性重量を低くしたようだ。

従来モデルで不満だったのはエンジン回転の鈍さだった。回転の上昇もドロップも緩慢だったから、走りが興醒めだった。今回のRSではそこにメスが入れられた。回転計の針が躍動する感覚は、RSの名に相応しい。

RSのグリル

ホンダの6速MTは、世界一ではないかと思うほど小気味いい。ストロークが少なく節度感がある。スパスパと決めると快感が走る。その喜びを、一層ダイレクトに味わえるようになった。感動的ですらある。

開発陣に聞けば、フライホイールを軽くしたばかりか、エンジンマッピングにも手を加えている。エミッションとのバランスを探るのに苦労したという。ただ、軽量素材に変更しただけではなく、深いところまで細工の手は行き届いているのである。

エンジンレスポンス以外にも気持ちよさを徹底追求

ホンダは2040年までに、すべての内燃機関からの撤退を表明している。だが、それまでにはまだ16年もの期間がある。内燃機関開発の手を緩めることはせず、まだまだガソリンエンジンの持つ走りの楽しさを追求してくれているのだ。

そこまで気持ちが走っているのだから、操縦性関係にも力が込められているのはあきらかだ。車高が5mmダウンしたばかりか、コイルスプリングやスタビライザーのバネ条数を高めている。

地を這う感覚は一層強くなった。前後にグッドイヤー・イーグルF1アシンメトリック2の235/40R18が組み込まれているが、そのスポーティタイヤがスキール音を上げる直前まで攻め込んでも、不自然なロール姿勢に陥ることはなかった。つねにフラットライドをキープしているのである。

ダンバーの減衰力も数値には変更はないものの、径の拡大やバルブの変更によって、初期の応答性を高めたという。どうりでシャープに反応するものだと感心した。それよりも際立っていたのは、ステアリング応答性が鋭いことだ。コーナを前にややアップテンポに切り込むと、曖昧さがなく切り込んでいく。ことさら身構えずに切り込んだとたん、ハッとしてしまった。

その理由はフロントコンプライアンスブッシュのラバーを液封式からソリッドに改めたためだ。ステアリングのトーションバーも、レートで60%も強化させたらしい。

不思議に感じたのは、アクティブサウンドコントロールが組み込まれていないことだ。日ごとに強化される騒音規制によって、そもそもエキゾーストサウンドは大人しくなる一方である。シビックRSもエンジンレスポンスがシャープになり、フットワークも軽快になった。できればそれに見合うサウンドがほしいところである。

ちなみに、乗り心地に悪化の気配はない。たしかにホンダの狙い通り、RSはタイプRではトゥーマッチと感じるユーザーにとって理想的である。日常的に味わえるホンダスポーツの誕生を歓迎したい。

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  • 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
  • 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
  • 1960年5月5日生まれ。明治学院大学経済学部卒業。体育会自動車部主将。日本学生チャンピオン。出版社編集部勤務後にレーシングドライバー、シャーナリストに転身。日産、トヨタ、三菱のメーカー契約。全日本、欧州のレースでシリーズチャンピオンを獲得。スーパー耐久史上最多勝利数記録を更新中。伝統的なニュルブルクリンク24時間レースには日本人最多出場、最速タイム、最高位を保持。2018年はブランパンGTアジアシリーズに参戦。シリーズチャンピオン獲得。レクサスブランドアドバイザー。現在はトーヨータイヤのアンバサダーに就任。レース活動と並行して、積極的にマスコミへの出演、執筆活動をこなす。テレビ出演の他、自動車雑誌および一般男性誌に多数執筆。数誌に連載レギュラーページを持つ。日本カーオブザイヤー選考委員。日本モータージャーナリスト協会所属。日本ボートオブザイヤー選考委員。
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