耐久ならではの展開もあり見どころ満載
新規格の軽自動車にて争われるレースが「東北660」シリーズです。スプリントレースとは違う魅力がある耐久レースも人気が高く、多くのマシンがエントリー。2024年7月に開催された第2戦の模様をレポートします。
学生が参戦できるクラスも盛況
東北660耐久レースの第2戦が2024年7月14日に福島県のリンクサーキットで開催された。決勝はシリーズでもっとも長い5時間で、クルマにとっても人にとっても過酷だが、その分だけ完走したときの充実感も大きい。今回は合計21チームがエントリーしており、登録できるドライバーも最大で5名と、ほかのラウンドより多いのが特徴といえる。
3クラスは東北660選手権の3クラスと同じ車両規定が適用。改造範囲が厳しく制限され、タイヤもセカンドラジアル縛りだ。また学生クラスは自動的に3クラスにもエントリーされ、そちらを合わせると15チームという激戦区になる。
4クラスはそれ以上のチューニングが施されたNAの軽自動車で、今回は不在だったがホンダ「トゥデイ」や「ビート」といった旧規格も参加が可能だ。
予選:他クラス参戦マシンなどもエントリー
まずは3クラスの模様から見ていこう。予選のポールポジションは85号車「塩山自動車 佐藤部品アルト」で、2番手は常連の学生チーム680号車「NUMC ゾンビアルト」。3番手には東北660選手権とHA36カップにも出場している車両を、耐久レースに持ち込んだ31号車「ジジイでも走れるアルト」が食い込んだ。
そして学生クラスの2番手は383号車「ARYUMCいきなりミニカ旅行」、3番手が33号車「ワゲナーバン by YUMC」の順でグリッドが決定した。
4クラスは東北660選手権のトップランカーたちが組んだ561号車「ARYレーシング チーム軽量級」が初参戦でポールを獲得、2番手は開幕戦の覇者である194号車「おいなりさん feat. S.C.I.」が0.23秒という僅差で続く。3番手はやはり東北660選手権の上位陣による829号車「チーム関東 ARY」だ。
決勝:3クラスはダークホース的な三菱「ミニカ」が優勝
決勝レースはマクラーレン「720S」の先導によって火蓋が切られ、各チームとも混雑しているコース状況のなか淡々と周回を重ねていく。ドライブシャフトやブレーキにトラブルを抱えてピットインする車両こそあったが、クラッシュがないのは当然のこと、リタイヤに繋がるようなアクシデントもなく、終わってみれば決勝に進んだチームが1台も欠けることなく完走した。
前述したマシントラブルのときはライバルであるはずのチームがスペアパーツを快く提供するなど、東北660シリーズに一貫して流れるスポーツマンシップも全チーム完走を達成した一因だろう。最終的なリザルトは以下のとおり。
総合および4クラスの優勝は194号車「おいなりさん feat. S.C.I.」で、開幕戦に続く連勝でシリーズチャンピオンに大きく近付いた。準優勝は2ラップ差で561号車「ARYレーシング チーム軽量級」、3位には829号車「チーム関東 ARY」が入り表彰台の一角を堅守した。
そしてダークホースが席巻した3クラス。シングルカムがゆえの非力さで勝ち目は薄いと思われていた、383号車「ARYUMCいきなりミニカ旅行」が239周で優勝を飾った。エンジンのパワーどころか車重やギヤ比に燃費などを含め、ライバル勢に対しアドバンテージはゼロであるはずだが、ドライバーの阿部優翔選手と大島慧恩選手は事前に4回も練習に通い、足まわりやタイヤの空気圧を徹底的にセットアップしたという。
走り込んだおかげで安定したラップタイムを刻めるようになり、全チーム中最少の2名で挑んだことでタイムのバラ付きもない。三菱「ミニカ」は車両価格も非常にリーズナブルであり、チューニングパーツもそれなりにある。これから耐久レース参戦を考えている人には、ひとつの選択肢となるのではないだろうか。準優勝は30号車「おちんぎん大好きRcg MM」号、3位は31号車「ジジイでも走れるアルト」だった。
学生クラスは383号車「ARYUMCいきなりミニカ旅行」が優勝。準優勝は7ラップ差で33号車「ワゲナーバン by YUMC」、3位は385号車「IUAC DXL カミオン ミラ」となった。
東北660耐久レースの第3戦は少し間を空けて、11月24日(日)にエビスサーキット西コースで開催。各チームとも5時間を戦い抜いたマシンをメンテナンスし、シーズンの締めくくりに相応しい熱いレースを見せてくれるはずだ。