マフラーの出口の下端がひとつの目安
各地に多くの被害をもたらした台風10号。台風本体から遠く離れた神奈川県などでも河川の氾濫や土砂崩れなどの災害に見舞われました。これから秋の台風シーズンで、全国どこに線状降水帯が発生するかわからないため、大雨への対策は、誰もが考えておきたいところです。当然クルマも大雨の被害を受けることがあります。早速、クルマはどこまで冠水しても大丈夫なのかを確認していきましょう。
水深30cmになるとクルマにダメージが出てくる
車検に通るクルマ=保安基準をクリアしているクルマなら、最低地上高が9cm以上あるので、乗用車でもとりあえず水深10cmぐらいまでは、冠水してもセーフのラインだ。
より具体的にいえば、マフラーの出口の下端がひとつの目安となる。マフラーの出口から水が排気管の中に流れ込んでくると、エンジンが停止したり、再始動できなくなる可能性があるからだ。
走行に関していうと、JAFのユーザーテストで直線30mの冠水路を走りきれるかを検証したところ、水深30cmではセダン、SUVタイプとも時速10km/h、時速30km/hで走行することが可能だった。
しかし、水深30cmとなると、かなりの深さになる。クルマにダメージなく走ることができるのは、その半分の水深15cmぐらいまでと考えておいたほうが安全だ。少なくとも、車内に水が入ってくることは避けたいので、ドアの下端までが走行可能な水深のリミットだと覚えておこう。
それ以上、水深が深くなるとどうなるか。
クルマの床面が浸かるレベルになると、電気関係に問題が生じ、パワーウインドウや電動スライドドアが動かなくなる可能性が出てくる。そして、タイヤ全体が水没すると、車体が水に浮いてくることがある。さらに水がドアの高さの半分を超えると、水圧で人力ではドアを開けるのが難しくなる。
そうなったら、脱出用ハンマーで窓ガラスを割って、車外に逃げるしかない。
水に浸かったクルマの価値は大きく下がる
ちなみに水に浸かってしまったクルマは、内装や電装系、その他の修理が必要になり、錆やにおいの心配もあるので、車両の価値は大きく下がる。一般財団法人 日本自動車査定協会の中古自動車査定基準によると、
「集中豪雨や洪水などにより、室内フロア以上に浸水したもの、または、その痕跡により商品価値の下落が見込まれるもの」は冠水車と呼ばれ、オークション出品時には、申告の義務があり、中古車として販売するときもそれを明記することが義務づけられている。
もっとも、クルマは不動産ではなく「動産」なので、大雨や水害が見込まれるときは、早めに高台に移しておくことで、冠水のリスクは回避できる。
国土交通省のハザードマップなどを利用してあらかじめ冠水しやすい場所、安全な場所を調べておき、天気予報も活用して、大事な愛車を水害から守るよう、事前に対策しておこう。