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930世代のフラットノーズが控えめの2700万円! ポルシェ公式フラッハバウの開祖がなぜ!? リトラクタブルライトが上がれば、やっぱりカエル顔でした

930世代のフラットノーズが控えめの2700万円! ポルシェ公式フラッハバウの開祖がなぜ!? リトラクタブルライトが上がれば、やっぱりカエル顔でした

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Bonhams

アメリカから英国、スイスへと渡り歩いたヒストリー

ポルシェ930系「911 ターボ “フラッハバウ”」は、もとよりエクスクルーシヴな最終型ターボのなかでも、格別にレアなバリエーション。そしてこのほどボナムズ「THE BONMONT SALE」オークションに出品された個体は、「インディアン・レッド」のボディに「ブラック」のレザーインテリア、そして最終型の特徴である5速マニュアルトランスミッションで仕上げられ、1987年7月11日にメリーランド州コッキーズヴィルの「ヴァレー・モーターズ」社によって、アメリカ合衆国で新車納車されたもの。

ヴァレー・モーターズ社では、1990年代の終わりまでこのポルシェを整備していたとの記録が残っているが、その後は英国で「E409 MPV」というナンバープレートとともに登録され、彼の地における車検証に相当する「MoT証明書」は、2011年と2012年のものが保管されている。

整備時のインボイスなどが付属される

この930フラッハバウは、2011年以降は今回のオークション出品者でもある現オーナーの所有となっており、これまでに2万6433マイル(約4万2300km)を走行。

ポルシェの純正ウォレットに収められ、スタンプが押されたサービスブック、オリジナルのスイス登録書類、購入時のインボイスのコピー、それ以前の北米における登録証明書、アメリカのヴァレー・モーターズにて1990年代に発行された整備インボイス、2011年と2013年、そして最後に整備を受けた2023年7月のその他のインボイスなどが付属する。

これまでの来歴は比較的確かなもので、エンジンとシャシーのナンバーが一致した、いわゆる「マッチングナンバー」であるというこの930ターボ フラッハバウに、ボナムズ社は12万~17万スイスフラン(約2054万円〜2909万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定した。

そして迎えた競売ではビッド(入札)が順調に進行し、終わってみればエスティメートに収まる15万8125スイスフラン。つまり、現在のレートで日本円に換算すれば約2700万円で、壇上に立つ競売人のハンマーが鳴らされることになった。ただこの落札価格は、同時代の930系フラッハバウの近年における販売実績と比較すれば、かなり低いものでもあることは記しておくべきである。

このオークションでは、じつはエスティメートの段階からかなり控えめな設定だったようで、おそらくはコンディションの面で、公式ウェブカタログには記載されないウィークポイントがあったということなのであろう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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