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今や数億円のメルセデス・ベンツ「300SL」を屋根付き露天駐車場に! 初試乗は環八での「引きがけ」…幼少からの永遠の憧れでした【クルマ昔噺】

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TEXT: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)  PHOTO: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)

ガルウイングクーペの8割は北米で販売

冒頭で300SLが1952年生まれと言ったが、正確には少し違う。1952年に生まれたのは後に300SLとなる原型が、である。コードネーム「W194」と呼ばれるモデル。ちなみに300SLは「W198」だから、厳密にいうと違う。そのW194は1952年にレーシングカーとして誕生し、その年のル・マン24時間でワンツーフィニッシュを飾る。3Lの直6エンジンも市販300SLとは異なり、まだキャブレターを装備していた。

しかもパワー的にはライバルと比べて相対的に低かったものの、軽量で空力性能に優れたボディに高い耐久性が勝利を呼び込んだと言われている。この年、W194はさらにニュルブルクリンク、そしてメキシコのカレラ・パナメリカーナでも勝利した。このメキシコでの勝利が北米市場での関心を引き市販化に結び付いたとも言われている。

W194の時代から軽量な鋼管スペースフレーム構造や、ガルウイングドアのデザインなどはW198と変わらない。もっとも市販モデルの場合はドアの開く位置がだいぶ違うが……。それにしてもW198は当時としては画期的で、まさにレーシングカーがそのまま市販化されたようなものだったのだろう。

デビューは1954年のニューヨークショー。アメリカをワールドプレミアの場に選ぶあたり、商業的な成功を目指したもののようで、実際1400台が生産されたガルウイングクーペの8割は北米で売られたと言われている。そして、W198はそのエンジンもW194のそれとは異なり、ボッシュの機械式燃料噴射を備え、しかも今でいうところの直噴技術も導入されていた。

近年は億の値段が付く

大学を卒業後、ドイツに渡りそこでW194とW198の中間。いわゆるW198のプロトタイプにも出会った。かなりレーシングカーに近く、ボディサイドのエアベントも位置や形状が異なり、さらにリアクオーターにもベントが開けられている。このクルマはメルセデスが現在も所有しているはずであるが、はたして何台作られたかなどの詳細は解っていない。ただ1953年製であることは間違いない。つまりレースで活躍した1952年のモデルから市販化に向けた熟成の過程のクルマということで、ステアリングなどもまだレーシングバーションのそれが装備されている。

今や300SLは永遠の憧れ。近年ではオークションでも億の値段が付く。

>>>メルセデスの専門誌「only Mercedes」のvol.221を読みたい人はこちら(外部サイト)

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  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 幼いころからクルマに興味を持ち、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾る。 大学在学中からレースに携わり、ノバエンジニアリングの見習いメカニックとして働き、現在はレジェンドドライバーとなった桑島正美選手を担当。同時にスーパーカーブーム前夜の並行輸入業者でフェラーリ、ランボルギーニなどのスーパーカーに触れる。新車のディーノ246GTやフェラーリ365GTC4、あるいはマセラティ・ギブリなどの試乗体験は大きな財産。その後渡独。ジャーナリスト活動はドイツ在留時代の1977年に、フランクフルトモーターショーの取材をしたのが始まり。1978年帰国。当初よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動し、すでに45年の活動歴を持つ。著書に三栄書房、カースタイリング編集室刊「世界の自動車博物館」シリーズがある。 現在AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)及び自動車技術会のメンバーとして、雑誌、ネットメディアなどで執筆する傍ら、東京モーターショーガイドツアーなどで、一般向けの講習活動に従事する。このほか、テレビ東京の番組「開運なんでも鑑定団」で自動車関連出品の鑑定士としても活躍中である。また、ジャーナリスト活動の経験を活かし、安全運転マナーの向上を促進するため、株式会社ショーファーデプトを設立。主として事業者や特にマナーを重視する運転者に対する講習も行っている。
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