世界限定100台? ディアブロ VT ロードスター
2024年6月28日~30日、名門「ボナムズ・オークション」社がスイス西端のリゾート、シェゼレックスの「Golf & Country Club de Bonmont」を会場として開催した「THE BONMONT SALE」オークションでは、クラシックカーや近代スーパーカーなどが数多く出品されました。今回はそのなかから、前世紀末のレアもののランボルギーニ「ディアブロ VT ロードスター」をピックアップ。モデルの概要とオークション結果について、お伝えします。
デビュー当時は史上最速・最高級のスーパーカーだったディアブロとは?
ランボルギーニ本社のお家事情もあって、結果として17年間もの長きにわたって生産されることになった伝説の「カウンタック(クンタッチ)」。その後継車として登場したのが、それまでのランボルギーニ史上でも最も速くて最も先進的、そして最も高価な「ディアブロ」だった。
1990年1月、モナコにて世界初公開されたディアブロは、あらゆる面で先代モデルに手をくわえ、スーパーカーデザインの分野で新たなベンチマークを打ち立てることになる。ランボルギーニで「ミウラ」やカウンタックを手がけたマルチェッロ・ガンディーニがスタイリングを担当した……と聞いて驚く人は、当時も今もいないだろう。
いっぽうディアブロに搭載するため、5.7Lまで拡大されたランボルギーニの48バルブV12エンジンは、初めて全モデル・仕様にフューエルインジェクションを採用し、最高出力は492psを発生した。
カウンタックよりも高いパワーを誇るかたわら、空気抵抗係数も低められたディアブロは、テスト走行で時速200マイル(約322km/h)を超え、偉大な前任モデルを軽々と凌駕した。さらに重要なのは、加速と最高速度の数値がフェラーリ「F40」をわずかながら上回ったことだ。
ディアブロは豪華な内装の量産車だった
世界で最も高価なクルマのひとつでありながら、ディアブロはフェラーリF40のようなスパルタンな限定モデルではなかった。それはサーキットのみならず、市街地や高速道路にも適した洗練されたグラントゥリズモを作ろうとするエンジニアやデザイナーの意図を反映した、豪華な内装の量産車だったのだ。
1992年には、のちにランボルギーニ全モデルでデフォルトとなる4WDシステムを投入した「ディアブロ VT」と、タルガトップスタイルのオープン「ロードスター」バージョンが登場する。
「VT」とは「ヴィスカス・トラクション」のイニシャル。前輪と後輪のパワーを分割するドライブトレインのカップリングにちなむ。通常時は後輪のみが駆動されるが、トラクションが失われた場合、利用可能なパワーの最大25%が前輪に供給されることになっている。