かなり希少なモデルながら、売り手には少々不本意な落札価格に

このほどボナムズ「THE BONMONT SALE」オークションに出品されたランボルギーニ「ディアブロ VT ロードスター」は、推定100台が製造されたうちの1台。この非常に希少な個体は、日産Z32系「フェアレディZ／300ZX」と共通部品であることでも知られる固定式カバー付きヘッドライト（初期モデルは電動リトラクタブル式）を特徴とする、望ましい第2世代に属する。

当初はブラックのエクステリアに、ベージュの本革インテリア（その後レッドに変更）の組み合わせで仕上げられ、2000年2月23日にフランス・パリの「JBオートモビル」社によって、新車としてファーストオーナーに納車されたという。

このディアブロには、2000年2月24日付でランボルギーニ社が発行した出荷証明書と、著名なランボルギーニの歴史家であるオリヴィエ・ナムシュ氏によるレポートが付属している。また豊富なサービス履歴もあり、サービスブックには2000年2月24日の2001kmから2020年10月20日の5万9166kmまでの7つのスタンプが押されている。そして、新車からの合算走行距離が6万3500kmに満たないこのクルマは、保管されている数多くのドキュメント類が証明するように、つねに非常に大切にされてきたようだ。

くわえて、スイスにおける抹消登録証明書と、それ以前の登録地であるオリジナルのドイツ登録証。2セットのスペアキー、ランボルギーニ純正のレザーポーチに入ったサービス＆ワランティカードブックとオーナーズハンドブックとともに販売される。

リザーヴなしで出品されたのが裏目に……？

このディアブロ VT ロードスターに、ボナムズ社は35万～40万スイスフラン（約6012万円〜6871万円）というエスティメート（推定落札価格）を設定。さらに今回の出品を「Offered Without Reserve（最低落札価格なし）」で行うことを決定した。

この「リザーヴなし」という出品スタイルは、価格の多寡を問わず確実に落札されることから会場の空気が盛り上がり、エスティメートを超える勢いでビッド（入札）が進むこともあるのがメリット。しかしそのいっぽうで、たとえ出品者の意にそぐわない安値であっても落札されてしまう落とし穴もある。

そしてこの日のオークションでは、リスクを冒したことが裏目に出てしまったようで、終わってみればエスティメート下限を大きく割り込む27万6000スイスフラン、日本円に換算すれば約4700万円という、おそらく出品者側からすれば不本意だったに違いない落札価格で、競売人の掌中のハンマーが鳴らされることになったのだ。