当時の仕様にこだわったDR30型スカイラインRS
「鉄仮面」の愛称で親しまれる日産6代目DR30型「スカイラインRS」が“まめしばRS”さんの愛車です。このスカイラインにつけられた愛称は世代ごとに存在し、DR30型の前期型は俳優ポール・ニューマンをCMに起用したことから「ニューマン・スカイライン」、後期型は特徴的なグリルレスデザインと薄型ヘッドライトの外見から「鉄仮面」と名付けられました。
小学生の頃から憧れていた
今回紹介する後期モデルの「鉄仮面」こと日産6代目DR30型「スカイラインRS」は、スカイラインシリーズ初の4気筒エンジン「FJ20ET型」にインタークーラー付きターボを搭載していたことから「ターボC」とも呼ばれ、トップグレードであるRS(レーシングスポーツ)では最高出力205psをマークし、国産車初の「リッター100馬力の壁」を突破。これをきっかけに、各自動車メーカーによるターボエンジン開発によるパワー競争となった。
当時のモータースポーツにおいてもその活躍は目覚ましく、グループ5規定の富士スーパーシルエットシリーズでも大活躍。6気筒エンジン搭載でなければスカイラインにあらず……なんて批判を跳ね返すかのように、DR30型スカイラインは歴代シリーズにおけるマニア垂涎の名車となった。
“まめしばRS”さんの現在の年齢は51歳。DR30型スカイラインがデビューした頃は小学生で、新聞広告でたまたま目にした「史上最強スカイライン」というキャッチコピーに惹かれてクルマに興味を持つ。そして、いつか手に入れたいクルマとして欲しい物リストの仲間入りを果たしたと話す。
「いま思えば、きっと子どもの頃だったので最強なんて呼び名に憧れちゃったのでしょうね。強い=カッコいいと思っていた幼少期でしたから」
一度は諦めるも、朽ち果てそうな個体を発見
“まめしばRS”さんは免許取得と同時に憧れていたDR30型スカイラインの購入に向けて動き出す。すでに鉄仮面は世代交代後だったので、きっと安価な中古車が出回っているだろうと情報誌を確認すると、現実はそんなに甘くなかった。当時はちょうどチューニングが大ブームを迎えた頃。そのベース車としてDR30型スカイラインは高嶺の花になっていたので、諦めて別のクルマを購入した。
しばらくDR30型スカイラインのことを忘れていたが、たまたま地元で朽ち果てそうになっていた1台を発見。昔憧れたクルマでもあったので、レストアを楽しみながら乗ろうと格安で購入した。ボロボロでサビだらけの状態だった車体をバラバラにし、使える部品と使えない部品に仕分け、足りない部品を集めながらフルレストア。現在の姿になるまでに約7年を費やしたと話す。
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ボディカラーは中学生の頃に作ったプラモデルを再現
ドンガラの状態から作り直したので、理想の鉄仮面像を再現。カラーリングは中学生の頃に作ったフジミ製プラモデルと同じシルバーメタリックとブラックの縦割りツートーンを採用している。“まめしばRS”さんいわく、
「少しS130型フェアレディZのマンハッタンカラーを意識していたのかも知れません」
とのことだった。
詳しい仕様について外装から確認していくと、まずフロントバンパーはハーフスポイラータイプのジェネシス製を装着。より迫力を出すべくリップスポイラーを60mmほど延長している。また、リアバンパーに取り付けたアンダースポイラーとサイドリップはオリジナルで、リアウイングはHiro製のスカイラインジャパン用をベースに鉄仮面のトランクに合わせた加工を施してセットしている。
インテリアはストリートレーサー仕様に
この鉄仮面のチューニングスタイルは当時感を大切にしている。そのため、エンジンは補器類を中心に強化。パワーの源となるタービンは、当時の定番だったHKS製のTO4Eフルタービンキットを装着し、インタークーラーは日産S13型「シルビア」用前置きタイプをセット。マフラーはφ60mmデュアルタイプをワンオフ製作し、エンジンマネジメントはApexi製S-AFCで燃調を、ブースト圧はHKS製EVC IIIでコントロールしている。
室内にはたくさんの追加メーターに加えてMOMO製ディープコーンステアリング、BRIDE製セミバケットシートのBRIXをセット。当時流行ったストリートレーサーとして作り込んでいる。
鉄仮面ほどの名車ともなれば、オリジナルで乗ることがセオリーなんてこともいわれるご時世。そんな中で、中学生の頃に作ったプラモデルを再現し、チューニングブームの流れをくむ名パーツを装着して現代でも通用するマシンへと進化させた。“まめしばRS”さんの鉄仮面に対する特別な想い入れを取材しながら感じた。ぜひ今後もこの当時仕様のまま、末永く乗り続けてもらいたい。
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