走り出してしまえば違和感なくギアチェンジをする
操作系としては、ハンドル左にあるはずのクラッチレバーがなく、左ステップの周囲にレイアウトされていたシフトペダルもない。かわりに右ハンドルのスイッチボックス側にATとMTの切り替えスイッチが追加された。そして左ハンドル側のスイッチボックスの下にシフトアップ&ダウンのシーソー型のスイッチが加えられた。
「+」レバーでシフトアップし、「-」レバーでシフトダウンとなるが、人差し指1本の押し引き(シフトダウン&アップ)操作も可能。信号などで減速していくと車両側が判断し自動的にシフトダウンも行う。
今回実車の試乗の機会が設けられた。エンジンをかけるのは、ブレーキをかけながらセルスイッチを押すだけ。ニュートラル状態でエンジンをかけ、発進をするためにローギアに入れるわけだが、クラッチを握らずにギア操作をする。
通常のバイクと同じように「ガチャン!」とギアが入るわけだが、このシフトショックが若干きついという印象がある。そこからアクセルを開けていくと、絶妙な半クラ操作のようにスルスルっと走り出していく。走り出してしまえば、速度とアクセルの開閉具合によってそれほど違和感なくギアチョイスをしてくれる。
4輪であるとこういったものに学習機能を持たせ、自分好みのシフトパターンにしていく、という話がよくあるが、このY-AMTには、学習機能を持たせてはいない。
担当者にその理由を尋ねると逆に問われてしまった。
「自分の思った通りに操作したい人のためにMTモードを用意しています。例えばY-AMTに自分好みのシフトパターンを学習させたATモードでどんな乗り方をしたいですか?」
なんでもかんでもAIに頼る風潮のこの時代だが、何も考えずに乗れる「楽ちんモード」をあえて自分のシフトパターンに寄せる必要はないという考え方は、確かにそうだ、と肯いてしまう。ATモードの際は、その「D」と「D+」のモードをライダーが理解するべきなのだろう。
このクラッチレバーがなくオートマチック変速と指先マニュアル操作変速ができる「MT-09 Y-AMT(エムティーゼロナイン ワイ・エーエムティ)」は2024年9月30日に発売予定。ボディカラーは、「ブルー」と「マットダークグレー」の2色。価格は136万4000円(消費税込)となる。