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超がつくほどマニアック! レトロフューチャーなアストンマーティン「ラゴンダ」のコクピットは真のコニサー向け…2000万円以下なら買っておきたい!?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Bonhams

V8エンジンには3速ATのみが設定された

いっぽうパワーユニットはAM-V8と共通の4カムシャフト5340ccで、トランスミッションはクライスラーの「トルクフライト」3速ATのみが設定された。

サスペンションは基本的にV8と同じで、前ウィッシュボーン/コイル、後ろはコイルで吊ったド・ディオンで、セルフレベリングダンパーが与えられた。ブレーキは4輪ベンチレーテッドディスクである。

LEDメーターの実用化に手間どり、デリバリーが開始されたのは約1年半後の1978年春となってしまったものの、その後1985年にはエンジンをインジェクション化し、メーター周辺もわずかながら常識的なスタイルとしたシリーズ3へと進化。さらに1987年にはボディのエッジをやや丸め、リトラクタブル式ヘッドライトを固定式に改装するなどフェイスリフトを受けて、シリーズ4に進化したのち、1990年までにシリーズ総計617台(ほかに諸説あり)が生産された。

カタールのロイヤルファミリーが英国で使用したシリーズ4

このほどボナムズ「THE BONMONT SALE」オークションに出品されたアストンマーティン ラゴンダは、このモデルのファイナルバージョンであるシリーズ4のなかでもさらに最終期の生産分で、おそらくは最終生産車両からさかのぼって17番目にラインオフした個体と推定されている。

ボディカラーは、美しいブラック仕上げ。コントラストを効かせたコノリー社製「マグノリア」(黄味がかったクリーム色)レザーのインテリアが映えるこの見事なラゴンダは、もともとは長期滞在中のロンドンで使用するために輸出用プレートを付けた状態で、中東カタールのロイヤルファミリーであるアル・サーニ家に納車されたといわれているが、その後ドイツのコレクターに売却され、5年ほど保管されていたことも判明しているという。

全体的に非常に良好なコンディションで、走行距離は8万8000km弱と言われており、オーナーのプライベートコレクションから提供されるとのことである。

オーナーズマニュアルとサービスブックも付属

現オーナーは、このラゴンダSr.4をスイスへと輸入。彼の地におけるアストンマーティンやジャガーのスペシャリストとして知られる「エミール・フレイ・クラシックス」社に一般的なメンテナンスを委ねたほか、スイスの排ガス規制を遵守するための触媒コンバーターの取り付けも依頼した。また、純正カーペットと同色のラムウール製オーバーマットも、このとき新たに装着されている。

「アストンマーティン ラゴンダ」としては究極的な発展形であるこの壮麗な1台は、スイス国内の登録書類、エミール・フレイ・クラシックス社による最新の作業の請求書、オーナーズマニュアルとサービスブックを含む純正ファイルとともに提供された。

そしてボナムズ社は11万~14万スイスフラン、つまり日本円に換算すれば約1880万円~約2400万円という、現状におけるこのモデルとしてはハイエンドにも近いエスティメート(推定落札価格)を設定したものの、オークション当日の競売ではビッド(入札)がオーナー側とボナムズ社側で定めたリザーヴ(最低落札価格)には届かなかったことから「No Sale(流札)」に終わり、現在でもボナムズ社営業部門によってエスティメートと同額のまま、継続販売とされているようだ。

蛇足ながら、新車時代には不人気だったはずのラゴンダ シリーズ1は、ここ数年の国際マーケットで20万ポンド(邦貨換算約3800万円)をはるかに超える価格で販売された実績があるようだ。不人気ゆえに希少価値が高く、そこに目をつけるコレクターは必ず現れる。そんな様子を見るにつけ、コレクター向けのクラシックカーの市場はなかなか読めないもの……、と実感させられてしまうのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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