若い頃からオートポリスでサーキット走行を楽しむ
シャコタンやツライチなど独自スタイルのGT-Rカスタムを提案する九州唯一の専門店が「ガレージアクティブ」です。長年のドラッグレース経験を活かしたハードチューンやフルレストアなど、ワンストップでユーザーのニーズに応えています。そんな同社のオリジナリティあふれるマシンメイクに共感するGT-Rオーナーを紹介。今回登場するのは、現代の技術を投入して進化を続けるR32型日産「スカイラインGT-R」を愛する赤木さんです。
再起不能となったZ33型フェアレディZの代わりに選ばれたR32 GT-R
気がつけば2024年で日産R32型「スカイラインGT-R」歴は15年となった赤木嘉幸さん。15年前、いつものように地元大分県にあるオートポリスへ出向き、当時の愛車だったZ33型日産「フェアレディZ 380RS」で走行を重ねていたが、曲がり切れずバリアに突っ込んでしまう。
愛車は再起不能となってしまったが、若い頃から趣味としてサーキット走行を楽しんでいただけに、クルマ趣味を辞めることは考えられない。ただ、当時これといって欲しいクルマが見当たらなかったため、次に気になるクルマが出てくるまでのつもりで選んだのがR32 GT-R。GT-R専門店であるガレージアクティブを訪問し、200万円ぐらいでサーキット遊びができるクルマに仕上げてくれとオーダーしたのが、同店との出会いだそうだ。
じつは赤木さん、R32 GT-Rがデビューした直後にも新車で購入したことがあるのだそうだ。当時もタービンを交換して楽しんでいたが、現在とは異なり当時通っていたショップのGT-Rへの理解が乏しく、チューニングに対する技術も未熟であったことから、1年程度でエンジンブローとなり降りている。そのような経験もあって、GT-Rに再び乗ろうと積極的に思えなかったのかもしれない。
好みでいえばR32よりもR33だそうだが、当時の店頭の販売車両のなかでも、愛車となるR32の程度が良く、エンジンオーバーホール後2万kmというのが決め手となった。購入と同時に冷却系を強化し、足まわりもリフレッシュしている。
ガレージアクティブのワイドボディキットを装着した市販第1号車
これで安心して踏めるなとサーキットに赴くと、ノーマルのGT-Rは想像していた以上に遅く愕然としたため、即エンジンチューンに着手。HKSの鍛造ピストンを組み込み、タービンもHKSのGT2530に交換し、HKSのフルコンピューターであるF-CON Vproを用いて制御することで550psまでパフォーマンスを引き上げた。今後はHKSの可変バルブタイミング機構であるVカムを装着し、吸排気系の見直しでさらなるパワーアップを計画している。
また、赤木さんのR32 GT-Rはガレージアクティブのワイドボディキットを装着した市販第1号車でもある。
「5年前、各部に傷みが出てきたので、R35に乗り替えようと坂本社長に相談したところ、“絶対に後悔するからR35を買うならR32は手放さずに増車したほうがいい”と言われました」
それならやっぱりレストアか、と思ったそうだが、現状の外装パネルを剥がしてリフレッシュしても新車のようにはキレイにならない。それなら、最新の技術を駆使して作られた部品でやり直す方が、よりよい状態に仕上がると考え、赤木さんはワイドボディキットの装着を決断したそうだ。オリジナルにこだわるのも理解はできる。ただ、優れたパーツを使ってクルマを進化させたいというのが、赤木さんのカスタマイズに対する考えだ。
フレークの入ったホワイトでオールペイントしたのもそのひとつで、つねに新たなトライを続けるガレージアクティブのデモカーにフレーク塗装が施されているのを見て決めたという。一見すると単色なのだが、光の当たり方によってまったく異なる表情を見せる。ノーマル然としながら圧倒的な存在感を生み出すガレージアクティブのマシンメイクに惚れ込んでいる。
15歳の孫からGT-Rを受け継ぎたいと申し出はあったが……
インテリアは6年前にデッドストックだった新品のダッシュボードに交換し、RECAROのバケットシートを含めてブルーのアクセントを添えるのが赤木流。ちなみにシートはかつての愛車であるZ33型フェアレディZで使っていたものだ。
現在65歳となり、R32 GT-Rでサーキットを走る機会は減り、ガレージアクティブで出会った仲間とのイベントなどで活躍することが増えた。最近は15歳の孫からGT-Rを受け継ぎたいと言われているが、20歳までは運転させないつもりだ。
「ちゃんと運転できるようなってからと言い聞かせています」
と笑う。最初は「つなぎ」だったR32 GT-Rだが、今となっては人生をともに歩んできた古女房のような存在だ。妻を亡くした赤木さんにとってGT-Rは心の支えであり、ともに人生を歩むパートナーとなっている。