キャンプイベントで発見した懐かしカッコいい「ミニ バン」
埼玉県の国営武蔵丘陵公園で2024年6月1日~2日に行われた「Let’s Chill Out!(レッツチルアウト)」は、アウトドア&カスタムカーを軸に、カーショーとオートキャンプが融合した新しいスタイルのイベント。そこで見つけたのが、クラシックな「働くクルマ」の1965年式オースティン「ミニ バン」のフルエアロカスタム車両でした。しかもオーナーに話を聞くと、意外な部分がデジタル化されていたのです。
不人気かつレアな旧車の「働くクルマ」を愛するオーナー
古今東西どの国でも、働くクルマは、より快適な方が良いに決まっている。ましてや、毎日の仕事で使っていると、つねに最新のものに乗り換えたいと思うのが人情だろう。そうしたある意味「使い捨て」の働くクルマたちであるが、それが約半世紀も前に製造されているクルマだとしたら、最初から大事にされてきたスポーツカーや高級車とはまた違った貴重なものになる。前述のように「使い捨て」のために、なかなか後世には残りにくいのも現実である。
そうした、これまで酷使されてきたであろう商用タイプのバンを愛しく思う優しいオーナーがいた。
「働くクルマが好きなんですよ。これまでいっぱい働いてきたバンを、余生は自分と一緒にいろいろと遊ぼうという気持ちですね」
というのは、現在は現行タイプと混同しないように「クラシック・ミニ」と呼ばれている、旧タイプの英国の大衆車、オースティン「ミニ」のバンのオーナーである皆川将人さん。この「Let’s Chill Out!」はイベント創設以来、クラシック・ミニの仲間たちと楽しみにしているそうだ。
バンでは珍しいフルエアロキットで仕上げる
そんな皆川さんは、20年前に初めてミニにもバンがあることを知り、実際にミニのバンを愛車にしてから10年目となる。
ちなみに、1959年にデビューしたクラシック・ミニは、バッジエンジニアリングの手法でオースティンとモーリスという2つのブランドから、サルーンを基本に全長を延長したエステートモデルや、商用車はバンの他にもピックアップモデルもラインアップ。2000年までの41年間という長期にわたり生産された、自動車史に輝く超ロングセラーモデルである。
車体番号から1965年モデルだと分かる皆川さんのバンは、シンプルで飽きのこないシブい色ということでユーコングレーに塗られた外観に、バンでは珍しいフルエアロキットが目をひく。クラシカルなスタイルで、可愛くカッコいいをコンセプトに仕上げたのだそうだ。
「エアロキットはサルーン用のため、サイドステップを延長して装着しています。Bean’s製の珍しいのが手に入っちゃったから付けたって感じです」
得意なプログラミング技術を活かし愛車の健康状態もしっかりチェック
インテリアを覗いてみるとオーソドックスなセンターメーターと思いきや、驚くことに部分的にデジタル表示となっている。
「愛車の健康状態はつねに把握したいのですが、インテリアのクラシカルな雰囲気は崩したくないので、部分的にデジタル表示にしました」
メーターパネル中央にあるスミス製スピードメーターの下部にある燃料計は本来アナログの針が指すタイプであるがこれをデジタル化。アナログ指針とバーの2パターン化と電圧計がデジタル表示される。
同じく右側にはスミス製の水温計があるのだが、こちらもノーマルと同じ指針表示だけでなく、水温、エア吸気温度、電圧に加え空燃費計まで備える。ワンタッチで表示を切り替えられるマルチメーターは、プログラマーという仕事柄もありDIYで仕上げたそうだ。その完成度は、見る人がきっと欲しくなるクオリティとアイデアである。
「かなり自分の色は濃く出せているのかなと思っています。バンに乗ったのがきっかけで、素晴らしいミニのキャンプ仲間に出会えましたし、自分にとって最高の幸せを運んできてくれたバンです」
半世紀以上、働いてきたバンを気遣う皆川さん、これからも楽しいアウトドアライフを一緒に楽しんでいく。