新型「トゥールビヨン」のデザイン案発表時の貴重な映像が公開
ブガッティはブランドを作り上げるキーパーソンへのインタビュー形式のドキュメンタリームービーを定期的に公開しています。その第3弾となる最新エピソードが公開され、2022年2月にブガッティのデザインチームが新型「トゥールビヨン」のデザイン案を発表したときの瞬間が明かされました。この映像は、ブガッティ公式YouTubeチャンネルで視聴することができます。
美しさだけではなく、エアロダイナミクスとサーモダイナミクスの両立が求められる
ブガッティの元デザイン・ディレクターだったアヒム・アンスハイト氏とその後継者であるフランク・ヘイル氏が率いるデザイン・チームは、スケッチからバーチャル・リアリティのCADモデルを駆使し、数多くのデザインを作り込み、また精査してこの最終案に絞り込んでいった。彼らは何カ月にもわたってアイデアを練り上げ、2022年2月にこれらのアイデアが取締役会に提出され、数カ月にわたる実現可能性調査が行われることとなった。
この瞬間は、新型「トゥールビヨン」の開発においてだけでなく、ブガッティの長期的な未来がどのように発展していくかを考えるうえでも重要なポイントだった。このクルマのデザインは、この時代の新しいブガッティに影響を与えるだけでなく、ブガッティの何世代にもわたる将来のデザイナーたちのデザイン・インスピレーションの源となるからである。
デザインを絞り込むプロセスは、単なる美的な評価ではなかった。ほかにも技術的な実現可能性、ホモロゲーション要件を満たす能力、ブガッティをひと目で認識させる象徴的なデザイン要素を維持する必要性などが評価の対象となる。時速400km/h以上で走行可能なクルマにとって、エアロダイナミクスとサーモダイナミクスのバランスが完璧であることも極めて重要である。役員会とデザインチームは、提案されたデザインは要素を統合したものであるとの意見で一致した。
マテ・リマックCEOが語ったこととは
「今日、私たちはブガッティの次の100年に向けて礎を築いています。これは単にハイパースポーツカーを作るということではなく、何世代にもわたってブガッティを象徴するアイデンティティを定義することなのです。シロンが2016年の発表以来、数々の派生モデルや特別仕様車の青写真となったように、私たちが今下す決断がブランドの未来を決めるのです」
とマテ・リマックCEOは語った。
この重要な瞬間からすでに2年半が経過し、トゥールビヨンは世界に発表された。まもなく250台の生産枠がすべて割り当てられる。全編英語となるが、このインタビューの様子はブガッティ公式YouTubeチャンネルで観ることができる。貴重で美しい映像なのでぜひご覧いただきたい。
【動画】A New Era: Determining the Future
AMWノミカタ
前回のYouTubeで公開された映像では、現デザイン・ディレクターのフランク・ハイル氏が100年後のペブルビーチの芝生の上できちんと価値を評価されるクルマをデザインすることが重要だと語った。そのためにトゥールビヨンでは100年後には陳腐に映るであろうデジタル要素を排し、時代を超越する高級時計のようなアナログの美しさや機能性にこだわる部品を製造した。
そして最新のトゥールビヨンが往年の「タイプ35」からインスピレーションを与えられたように、115年を超えるブガッティの歴史には、振り返ることができる豊かなデザインDNAの遺産があるとも語っている。
今回最も印象的な言葉は、このクルマのデザインは、この時代の新しいブガッティに影響を与えるだけでなく、将来のデザイナーたちのデザイン・インスピレーションの源となるという言葉である。トゥールビヨンは目先の流行にとらわれずに将来の後継者にもブランド哲学を引き継ぐという重い責任を負ってデザインされたクルマなのである。その徹底した考えにはなにか神々しさまで感じる。