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空冷最後の「911ターボ」は約3600万円で落札! 走行距離4万2000キロ、777台のアメリカ仕様の1台は内外装ブラックの極上車でした

25万2000ドル(邦貨換算約3594万円)で落札されたポルシェ「911 ターボ」(C)Courtesy of RM Sotheby's

993型911はまだまだ人気!

2024年5月31日〜6月1日にRMサザビーズがカナダ・トロントで開催したオークションにおいてポルシェ「911 ターボ」が出品されました。登場したのは1997年に生産されたモデルで、わずかに777台が生産されたのみのアメリカ仕様です。ポルシェの鑑定書によると、ブラックのエクステリアカラーと、同じくブラックのレザーインテリアで仕上げられているのが特徴でした。

最後の空冷エンジンを搭載

RMサザビーズが、先日カナダのオンタリオ州トロントで開催した「デール・トゥ・ドリーム・コレクション」と題したオークションは、この地にある同コレクションの所有車を一堂に集め、しかもその多くをウィズアウト・リザーヴ、すなわち最低落札価格なしの条件で競売するという、きわめて注目度の高いものだった。

最低落札価格がないオークションは、ほとんどの場合落札率は100%となり、その価格はきわめて市場での実勢価格に近いものになることが多いのがその理由だ。オークションに参加する入札者としては、想像以上にリーズナブルな価格で希望のモデルを落札できるという期待度の高さも見逃せない。

ここで紹介するのは、1997年式のポルシェ「911 ターボ」。この時代の911、すなわち993型911は、最後の空冷エンジンを搭載するモデルということもあり、すでにクラシック・ポルシェの世界でも高い人気を誇るモデルとなっている。993型911にターボモデルが追加設定されたのは1995年のことだった。

リアに搭載されたエンジンは、3.6L水平対向6気筒ツインターボ。M64/60型と呼ばれたこのパワーユニットは408psの最高出力を発揮し、さらにこの993世代の911 ターボからはビスカスカップリングをセンターデフに用いた4WDシステムが採用されたのも大きな話題だった。参考までに通常走行時の前後トルク配分は5:95であるから、911シリーズに独特なRRモデルとしてのハンドリングの特徴は、そのまま継承されているといっても間違いではないだろう。

408psという高性能を誇るエンジンでありながら、このM64/60型エンジンは、実用域においてもじつに扱いやすい、魅力的なフレキシビリティを持つパワーユニットだった。海外誌ではそれは「世界で最も印象的な6気筒の市販パワープラントであるだけでなく、史上最高のエンジンのひとつに数えられる」とも評価され、911ターボの評価は993型においてさらに絶対的なものになった。大きく張り出したリアフェンダーの内側には、このパワーユニットとともに新開発のマルチリンク式サスペンションを装備。これもまたよりナチュラルな走りを演出する大きな要素となっていたことは見逃せないところだ。

アメリカ向けは777台が生産された

出品車の911 ターボは、前で触れたとおり1997年に生産されたもので、わずかに777台が生産されたのみのアメリカ仕様だ。ポルシェの鑑定書によると、このクルマは1997年3月10日に生産を完了し、ブラックのエクステリアカラーと、同じくブラックのレザーインテリアで仕上げられているのが特徴。

ウインドウステッカーに記載されたファクトリーオプションには、アップグレードされたフロントとリアのレザー素材、フロントシートヒーター、ヘッドレストのポルシェクレスト、リモート6ディスクCDチェンジャー、エンブレム付きメタル製のドアシルプロテクター、アルミニウム製インストルメントダイヤル、ブラックのポルシェフロアマットなどの装備が含まれている。

そしてウインドウステッカーには、この911ターボがオハイオ州ベッドフォードのFred Baker Imported Carsに出荷されたことが記されている。このクルマのメンテナンスブックにはオリジナルのオーナーが記載されていないが、2001年11月にFred Baker Imported Carsでサービスを受けた際のスタンプが押されている。

生産からすでに四半世紀以上の時を経過した911 ターボだが、オドメーターに示される現在までの走行距離は約4万2000km。2012年にデール・トゥ・ドリーム・コレクションの所蔵車になってからも、そのリフレッシュ、そしてメンテナンスのための作業は頻繁に行われ、それらの詳細はすべてメンテナンスブックとサービスインボイスに残されている。

最低落札価格なしの好条件で行われた今回のオークション。その落札価格はコンディションの素晴らしさもあって、25万2000ドル(邦貨換算約3594万円)にまで高騰した。これはRMサザビーズの示したエスティメート(予想落札価格)、20万~30万ドル(邦貨換算約2853万円〜4276万円)のちょうど中間にある数字だ。スポーツカーとしての911 ターボの魅力、そしてまたクラシック・ポルシェとしての価値が993型911にもすでに出てきたことを、今回のリザルトは証明していたのである。

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