インテリアはクラシック・セイチェントへのオマージュ
実はこのクルマのデザインについては、出版社時代の同僚である同業の友人、南陽一浩くんがフィアットのチーフデザイナーであるフランソワ・ルボワンヌさんに話を聞いていて、このAMWで記事を展開することになってるので僕も楽しみにしてる。だから僕はあくまでも個人的な感想を述べるに留めておくけれど、ボンネットのライン、その先端のオデコからアゴに向かって落ちていく面の角度、ルーフからリアエンドに至るラインなどにクラシック・セイチェントへのオマージュが隠れてるように思えて、ちょっとニヤリとした。
インテリアも同様で、パッと見では500Xをベースにさらにモダナイズさせつつ上質に仕上げたという印象だけど、2本スポークのステアリングやラウンド型のメーターナセルなどは、間違いなくクラシック・セイチェントへのオマージュだ。エクステリアもそうだしインテリアもそうだけど、こういうのをやらせると、イタリアは本当に上手いと思う。
車体のサイズは全長4200mm×全幅1780mm×全高1595mm。500Xのスタンダードなモデルと較べて、95mm短く、15mm細身で、同じく15mm低い。このクラスのSUVに関心がある人は、車体はできるだけコンパクト、室内や荷室はその中で最大限広くというのを望むケースが多いから、このサイズは歓迎されることだろう。室内も大人4人なら充分ゆとりを持って移動できるだけのスペースがあるし、荷室に至っては通常で360L、後席を倒せば1231Lと、このセグメントでトップクラスの容量を備えてる。ついでに触れておくと、500Xよりも小物入れなどの収納が充実してる。実用性に関しては、まず文句のつけようがないレベルにある。
いたずら坊主のような、ちょっとヤンチャな顔つき。角らしい角のないフォルム。クラシックとモダンが違和感なく同居してるディテールの数々。チンクエチェントを中心としたファミリーのメンバーでありながら、チンクエチェントとはちょっと違うんだけどね、とでも言いそうな穏やかで軽やかな明るい主張。かわいらしさを残しながら少しばかり大人びた感じの、チンクエチェントのしっかり者のお姉さんといった雰囲気。このクルマ、結構好きだな、というのが初対面での印象だった。