英米合作の名車、フォードGT40をイギリスで再現
英米合作のフォード「GT40」は、ル・マンでフェラーリから覇権を奪取するなどの目覚ましい戦果を挙げた、まさしくモータースポーツ史に残る傑作といえます。くわえて、後世のレプリカ車の模倣対象としてはAC「コブラ」やポルシェ「356スピードスター」に次ぐ人気車種としても知られています。世界最大級と称される自動車のお祭りとして、毎年7月に開催される「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(FoS)」。そのオフィシャルオークションとして名門ボナムズ社が催した「Goodwood Festival of Speed」オークションの2024年版では、1台の英国製GT40レプリカ「サザン(Southern) GT40」が出品されました。
イギリスでつくられたGT40は、かなり真剣な内容のレプリカ?
このほどボナムズ「Goodwood Festival of Speed」オークションに出品された「GT40」は、売り手である現オーナーが、英国サウサンプトンに本拠を構える「サザンGT」のファクトリーとともに4年の歳月をかけて製作したもので、2008年に新車登録された。
サザンGTのシャシーは、フルアジャスタブルのダンパーとアンチロールバーを装備し、サーキットを得意とする。トラクションコントロールやABSのような電子制御補助装置はなく、純粋なドライビングエクスペリエンスを妨げることはない。
1960年代のオリジナルGT40のコピーに近づけるよう目指しつつ、公道走行も可能とすることが意図されたため、幅と直径の両方ともオリジナルのタイヤサイズを維持しながら、可能な限り大きなAPレーシングのブレーキディスクとキャリパーを取り付けた。
エンジンは、フォードのアルミ製「スモールブロック」を331ci(約5.4L)にストロークアップし、495bhpを発生。スロットルボディ式のインジェクションは、ウェーバー48IDAのルックスにくわえて、フルマッピング可能なECUを備えることで、最新のパワーと調整しやすさの両立を図ったものという。
マフラーは公道用とレース用に2セット用意
ギアボックスは「クワイフ」社製ZFタイプの5速。これはGT40オリジナルのZFユニットの外装とシフトパターンを活かし、最新の内部ギアを組み込んだもの。オリジナルのGT40に準じたシフトレバーユニットには、リバースを保護するための跳ね上げ式カバーも含まれている。
ステンレス製エキゾーストは、2組のサイレンサーをVバンドクランプで固定し、交換を容易にしている。1セットはより静かな公道用で、もう1セットはサーキット走行用とのことである。
シャシーに目を移すと、ダンパーは「Koni 2812」アジャスタブルユニットを採用。これはトップエンドに調整機構を組み込み、伸び側と縮み側の両方を調整可能としたもので、アイバッハのデュアルレートスプリングと組み合わせることで、しなやかな乗り心地と優れたグリップを実現している。また、フルアジャスタブル式のアンチロールバーは、軽量化のためにクロームモリブデン製チューブに変更されている。
こうして完成したサザンGT40は「グッドウッド・スプリント」の常連となり、過去10年間「GRRCスプリント」でクラス優勝を果たしている。グッドウッドでの最速ラップは86秒で、さらに空軍基地で行われたスピードトライアルでは、レーダータイムで時速192マイル(約307km/h)を記録した。