クルマを持つことの魅力とは
閑話休題。2020年代の現代では、かつてのクルマ文化はハッキリいって方向性も嗜好も変化している。大袈裟に言うとクルマは「人生の一部」といっても良いほどの比重を持っていた。それは仕事に必要だったり、デートだったり、家族旅行だったり、人生のすぐ隣に存在していた。
筆者も運転免許証を取得してから、自分のクルマを所持していない時期は現在まで3カ月もない。つねにクルマは移動手段だけでなく、人生を豊かにするために存在しているもの。時にピンチを救ってくれたり、新しい出会いがあったり、他者の援助になったり。個人的な見解だが、昨今高年齢者の運転事故が増えたのは、もちろん年齢による反射の衰えなどもあるだろうが、じつはかつてのようにクルマを自分で点検したり、修理したりすることがなくなったからではないだろうか、と思っている。
技術の進歩革新により近未来、自分で運転することなく目的地まで到着できる完全自動運転化は間違いなく達成できるだろう。そしてそうしたクルマはコンピュータ管理で間違いなくどこも触る(メンテナンスや不具合の調整、チューンアップなど)ことはできないはず。
90周年を迎えた日産が願うこと
昔のことわざに「ダメな子ほど可愛い」という、現在となってはコンプライアンス問題になるようなものがあるが、かつてのクルマもそうだったのではないだろうか。自分で手塩をかけない、かけられないモノに愛情が生まれるだろうか? それはある種の無関心をも生み出す。無関心なモノに愛情は寄り添わない。もしかしたら愛情の欠如が突発事故をも生み出すことに繋がってはいないだろうか? あくまで筆者の個人的見解だが。
日産90周年記念ムービー。ケンとメリーの出会いから人生を紡ぐ様子、そこにはいつもクルマがあった。車種は目的や境遇によって変化し、さまざまなクルマを選び、クルマを楽しみ、クルマを愛している様子が描かれる。
たくさんの人の人生にクルマが寄り添うこと、それを日産の開発スタッフは願っている。何事も全ては可ではないし、不可ではない。それは人生においても同義。だが、過去の経験や思いでを大切に残しながら、未来へと続く道を模索し続けること。それがこのショート・ムービーには描かれているような気がして仕方がない。
【動画】日産90周年記念ムービー NISSAN LOVE STORY