アストンマーティンF1チームのストロールとアロンソによってアンベールされた
自動車の芸術品であるヴァンキッシュは、同社の111年にわたる豊かな歴史の中で最も集中的な製品開発期間を経て誕生したモデルである。2023年5月にカンヌで開催されたamfARガラの前夜に発表された「DB12」、そして2024年2月に英国のモータースポーツの聖地であるシルバーストーンでアストンマーティンの2024年フォーミュラワンカーと同じ日に発表された「ヴァンテージ」の成功に続く、アストンマーティンの次世代フロントエンジン・スポーツカーのラインアップを完成させるモデルとなった。
イタリアグランプリのチェッカーフラッグからわずか24時間後に、アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラワンチームのドライバーであるランス・ストロールとフェルナンド・アロンソによってアンベールされたヴァンキッシュは、アストンマーティンが公道とサーキットの双方でつながっていること、さらに高性能の分野で主導的な役割を果たすというブランドの意欲をさらに強固にする。
アストンマーティン社の執行会長であるローレンス・ストロール氏は次のように述べた。
「ヴァンキッシュの登場は、アストンマーティンにとって画期的な瞬間であり、当社のセグメントにおける最新かつ最強のポートフォリオを完成させ、当社のウルトララグジュアリーなポジショニングを強化するものです。この新車投入は、当社の象徴的なブランドの復活と、時代を超えたデザイン、匠の技、エンジニアリングの革新という独自の組み合わせを称えるものであり、当社の新世代スポーツカーを定義します。そして、主力製品であるヴァンキッシュは、超高級車と高性能車という両方の分野における当社の取り組みを体現し、アストンマーティンを新世代のドライバーのもとに届けるものです」
映画で活躍した、12気筒エンジンを搭載する唯一のモデル
ヴァンキッシュの生産台数は年間1000台以下に限定され、アストンマーティンの中核となる製品ラインアップの中で最高のパフォーマンスを誇るスポーツカーであり、最も高級なモデルとなる。そしてこのラインアップの中でヴァンキッシュはアストンマーティンが独自に開発した特注の12気筒エンジンを搭載する唯一のモデルとなる。
2018年以来初めて復活し、アストンマーティン3世代目となるこのモデルに、有名なヴァンキッシュの名が冠されることとなった。2001年に発売されたオリジナルのV12エンジン搭載モデルは、2002年の映画『007 ダイ・アナザー・デイ』でジェームズ・ボンドが運転し、2000年代の映画『トゥームレイダー』や『ミニミニ大作戦』などにも登場するなど、映画界で重要な役割を果たしてきた。そして今、再びこのクルマはスポットライトを浴びる。
AMWノミカタ
アストンマーティンと言えばやはり映画『007』と切っても切り離せない関係にあるが、この映画という切り口でベネチア国際映画祭を発表の場に選ぶなどさすがと言わざるを得ない。また、中世の造船所をレセプション会場に選ぶあたりも、アストンマーティンの歴史やクラフツマンシップを反映するのみならず、文化、芸術を大事にしているという姿勢を汲み取ることができる。
今回の新型ヴァンキッシュの大きな目玉は独自開発した5.2LのV12エンジンであろう。この自然吸気エンジンは最高出力835ps、最大トルク1000Nmを叩き出す。価格はまだ発表されていないが、1年分の予約はすでに受注しているという。年間1000台以下しか生産しないという点もこのクルマの価値を高める。スペックだけを見ると新型のベントレー「コンチネンタルGTスピード」に近い。顧客は2シーターでV12エンジンのヴァンキッシュを選ぶか、V8エンジン+モーターの4シーターのコンチネンタルGTスピードを選ぶか、デリバリーが本格化する来年が楽しみである。