ボディはピニンファリーナ、エンジンはコロンボ
シャープな直線基調のスタイリングは、ピニンファリーナのチーフデザイナーであったレオナルド・フィオラヴァンティによるもので、彼が単独で仕上げたモデルとしては「365GTB4」デイトナや「308/328」、さらには「365BB」等々、一連のフェラーリ作品が多数ある。また、トヨタのスーパーカー、レクサス「LFA」にも関与したと言われる。
エンジンは365時代の4.4Lから4.8Lに格上げされていたが、基本的にはジョアキーノ・コロンボが作り上げたエンジンで、当初は365時代と同じサイドドラフトキャブレターを装備していたが、1979年の400iからボッシュKジェトロニックに置き換えられることになった。もちろん気筒あたり4バルブの48バルブでオイル供給はウエットサンプである。
初採用のオートマチックトランスミッションはGM400と呼ばれたGM製の3速オートマチックであった。ならば当然、主としてアメリカ向け仕様と思われがちなのだが、じつはV12エンジンが当時のアメリカにおける排ガス規制をクリアしておらず、それ以前からV12の販売を断念していたのである。しかし、その規制をクリアするために燃料噴射を採用し、同時にオートマチックをオプション設定してアメリカへのV12再上陸を画策したということだ。はたして、その結果は上々で400iの生産は、5速マニュアルの422台に対してオートマチック883台が製造された。
販売車両は1979年に製造された初期モデルで、右ハンドル仕様。香港のMaranello Concessionaires Orient Ltd.を通じてデリバリーされたモデルであるが、長期間保管されていた関係で、レストアは必須の状況のようである。RMサザビーズ社では、邦貨換算約544万円〜649万のエスティメート(推定落札価格)を掲げていたが、冒頭の値段はそれを考慮したうえでのことだったということだ。ちなみにシャシーナンバーは30253。エンジンナンバーは00100でナンバーマッチしていることは確認されている。