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フィアット新型「600e」のデザイナー来日インタビュー!「フィアットの使命は“スーパークール・イタリアンタッチ”を手の届く価格で実現すること」

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TEXT: 南陽一浩(NANYO Kazuhiro)  PHOTO: 南陽一浩(NANYO Kazuhiro)/AMW/Stellantis N.V.

イタリアとフランスのデザイン文化の違いとは?

600eをデザインしていくうえで、とくに検討を重ねた点をルボワンヌ氏に問うてみた。

「500のように超丸っこく、超なめらかかつ超シンプルでありながら、ルーミーで空力的でなくてはなりません。ルーミーならボクシーな方がいいし、クルマのリアエンドの空力をよくするにもボクシーな方がいい。空力にはエッジが重要ですからね。でもデザイナーがプロダクト上の制限に従い続けてばかりいたら、こうはいきません。ボクシーにすると昔のデザイナーが成した仕事が目標値達成の障壁となり、“らしく”見えるフィールも得られない。するとクルマの見た目はイマイチでも、風洞に入れると良いクルマとなります。

でもここでやり取りして、同じ効果を備えつつより強いシェイプを時にもたらす、それがイタリアで初めて知ったイタリア式のやり方でした。これこそが洗練を可能にするのであって、イタリアン・デザインが創り出せる微妙な仕上げなのです。ご存知のように私はフランスのデザインを比較に挙げやすいですが、フランスのデザインはラディカル。イタリアのデザインはずっと繊細で、新しい経験でした。デザインの扱い方が違うのです」

一般にイタリアとフランスのデザイン文化の違いは、前者が造形的なボリュームの扱いに長けているのに対し、後者はコンセプト的といわれるが、彼はこう続ける。

「クルマに付与されるキャラクターが、ボリュームの点で繊細に左右されるのです。イタリアの人々が立体的なシェイプを好む事実は、文化に深く根づいているというか、美に繋がるストーリー、イタリアという国の歴史に繋がるものが求められます。フランスで語るべきはもっとコンセプトめいたストーリーで、良いものを出せたのなら、それは人々に理解される範囲でより精神的な何かをもつストーリーを語れた結果として、美しさはそこに付随するもの。両者はまったく異なるもので、美と人々の関係が違うんですよね」

巨匠と呼べるイタリア人たちがトリノをカーデザインの首都にした

くわえて興味深いのは、スティーレ・フィアットが本拠地とするトリノが、カーデザインの首都である事実だという。

「多くの国が国民車によってデザインを発展させた中で、巨匠と呼べるイタリア人たちがトリノをカーデザインの首都にしたといえます。イタリアのルネサンスが欧州に影響を与えたようなことが、1970年代にトリノからカーデザインの分野で起きていたのだと思います。だからトリノで仕事することはデザイナーとして、物事を本当に最初の段階から考えさせるものなんですよ。そこでイタリアン・ブランドの生まれ変わる歴史に立ち会えることは、エキサイティングなことです。イタリアのブランドをリローンチして新しい流れ、新しい目標をもたらすことが、ステランティス・グループの目標ですから。今やチーム全体が、主にイタリア人で構成されているとはいえ、よりインターナショナルになったと感じられます」

だからこそルボワンヌ氏が、パリからトリノに居を移して移籍することを選んだという話だ。それから先、話題は600eから近い未来、フィアットのデザインがどのような方向に進んでいくのかという点にまで及んだ。

「ただフランスの別会社に移籍するのではなく、文化も異なりデザインのアプローチも違う場所に行くこと、自分のデザイン経験をもたらし、新しいやり方で何かが実現できそうであること。500のような素晴らしい資産をもつフィアットのようなブランドを、若いチームとリローンチして新しい資産を創り出すことに、興味を惹かれたのです。私にとって500は偉大で、これからも幾度となく、それをブラッシュアップしていくことでしょう。同時に私たちは新しい資産をブランドのために作り出し、フィアットを一層強化せねばなりません。500があることで600というプロダクトをも作り出せるだけでなく、近い将来に出てくる新しいプロダクトもフィアットの強いイメージ、125年間の歴史にふさわしいイメージを市場に与えなくてはならないのです」

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