黒バンパーに鉄ホイール、低グレードのランサーは驚異のコンディションをキープ
2024年に7月28日(日)に石川県小松市の日本自動車博物館で開催された金沢クラシックカーミーティングの会場で気になる車両をチェック。今回はスクエアなデザインの1981年式2代目A170系三菱「ランサーEX」を紹介します。旧車として大事にされることの少ない低グレード車両にもかかわらず、内外装ともにフルオリジナルで美しく残っている理由とは?
近所の老婦人から譲り受けた新車当時のナンバーを掲げる1台
金沢クラシックカーミーティングの会場を歩いていると、2代目となるA170系三菱「ランサー」を発見。通常この型のランサーというと、1.8Lのターボエンジンを搭載した通称「ランタボ」がポピュラーだが、このクルマは黒バンパーに鉄ホイール、黒樹脂のままのフェンダーミラーと、明らかに低グレード。ところが車両は驚くほど綺麗なのだ。
オーナーの山本さんにお話を伺うと、このクルマは1981年式のランサーEX 1400GL。山本さんの知人でこのクルマを新車で購入したという老婦人が運転を辞める際に、近所の自動車屋の仲介で譲り受けることとなったそうだ。住んでいる地域も同じだったたため、新車からの「神戸58」ナンバーもそのまま引き継ぐことができたのだ。
オリジナルボディ&オリジナルインテリア!
シンプルなホワイトのボディは新車当時のまま、つまりオリジナルペイントだ。そして淡いブルーファブリックの内装も全てオリジナル。さすがに樹脂パーツは若干色褪せてきているが、基本的にオリジナル状態をキープしている驚くべきコンディションなのだ。
初代オーナーである女性が大切に乗っていたのはもちろんだが、山本さんが2009年に譲り受けた後も、大切に乗り続けてきたことが窺える。
ところで、ランタボは趣味のクルマとして世間にも知られているが、低グレードのランサーとなると、こうやって旧車趣味のクルマとして現存している数は非常に少ない。ランタボと共通のパーツであれば困らないだろうが、低グレード専用のパーツはほとんど流通しておらず、入手は困難を極めるはずだ。
一生乗り続けるため、なんとランタボを部品取りに
トヨタや日産のように旧車趣味の世界でポピュラーな車両を数多く持つブランドと比べると、三菱は現存台数も少なく、さらに2代目ランサーの低グレード。やはりパーツ収集にはかなり苦労するそうで、異型ヘッドライトひとつとっても入手は困難を極めるそう。存続に必要となる各パーツや消耗品は常に探しているそうだ。
「結局このクルマを維持するために、今はランタボを1台、部品取りとして所有してます(笑)。基本的なボディパーツはこれでなんとかなってますが、そのほかにもパーツは見つけるとできるだけ入手するようにしています。最近はもうイベント遠征などがメインなので距離もあまり乗りませんが、このクルマは墓場まで乗っていくつもりなので、これからも大切に乗っていきたいと思います」