旅の連れにはもちろん釣り仲間
さて、次は旅のメンバーだ。ひとりで旅行することも考えたが、釣りをするなら仲間がいるほうが楽しい。レンタカーも1日約3万円と安くない。ガソリン代や食費などを考えると、2人がベストだろう。
まず、思い浮かんだのは、ベテラン・アングラーのケンさんだ。1980年代後半に、ぼくが副編集長を務めたカー雑誌の広告担当だったのが知り合ったきっかけだが、ここ数年、趣味の釣りを介して交流を再開していた。東京湾のシーバス釣りや管理釣り場のトラウト釣り、さらにはお互いに下手な競馬も一緒に楽しむ友人だ。日産自動車のメカニックをしていた経歴もあり、現在はVIPの運転手をしているのもいい。自慢じゃないがメカには自信がないので、欠点を補ってくれそうだ。
「オーストラリアに1mオーバーのバラマンディを釣りにいきませんか」と声をかけると、「いいですね! ぜひ、いきましょう!」と即答が返ってきた。
「海外旅行は20年前の香港以来ですよ」というのがちょっと気になったが、まあ大丈夫だろう。10日間しか仕事を休めないので、一緒にダーウィンに入り、先に日本に帰国してもらうことになった。
内陸部の荒野アウトバックも走ることに
旅行の話を妻にすると、「私も行きたい」という。ただ、彼女は完璧なシティ派で、釣りもアウトドアもまったく無縁。彼女が興味があるのは、高校生のときに家族旅行でいって楽しかったメルボルンの街歩きだ。
「エアーズロック(現在はウルルと呼ばれる)は?」と聞くと、「それくらいは見てもいい」という。それではと、旅の後半にアリススプリングス(ノーザンテリトリー州南部の都市)で合流してエアーズロックを視察、その後、レンタカーを返してメルボルン観光ということになった。この計画の追加によって、オーストラリア内陸部の荒野、アウトバックの走行もオプションに加わった。場合によっては、4WDによるワイルドなオフロードも体験できそうだ。これはいい!
整理すると、最初の1週間はケンさんとの釣り旅行。その次の1週間はノーザンテリトリーの国立公園を一人旅し、アリススプリングスへアウトバックを一路、南下。最後の1週間は妻と合流してエアーズロックを訪ねてからメルボルンで数日過ごす。
以上、トータル3週間の旅が描かれた。さっそくクルマのレンタル期間を延長し、返却をアリススプリングスに変更した。
われながらいい計画になったと周囲に自慢していると、話を聞きつけた釣り仲間のキクが、「俺も行きたいっす」と連絡をしてきた。これまた旅行慣れしていない輩だが、釣りに関してはかなり知識がある。「どうしても行きたいっす」と押してきたので、ケンさんと同じ日程で参加することになった。
これで計23日間の旅程とメンバーが確定した。
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