トゥールビヨンがオートクチュールをまとったモデルと登場
シャンティイ・アーツ&エレガンス・リシャール・ミルは、往年のモデルを見るだけでなく、周囲の美しい田園地帯の道路で、クラシックでモダンなクルマが走る姿を楽しむこともできた。ブガッティ「シロン スーパースポーツ」が緑豊かなオワーズ地方の150kmのツアーに参加した。
イベントのクライマックスは、トゥールビヨンの披露である。115年にわたるブガッティの革新、洗練、フランスのエレガンスの精神を体現するトゥールビヨンは、ブガッティの発祥地であるアルザス出身のヴィクター・ヴァンサント氏がスタイリングした華やかなオートクチュールをまとったモデルとともに登場した。
ヴァンサント氏は、ジャン・ポール・ゴルチエのもとで2年間修行した後、2020年に自身の名を冠したブランドを立ち上げたデザイナーである。元プロダンサーでもある彼は、舞台芸術のエネルギーをそのコレクションに吹き込み、世界中で称賛を集めている。
ブガッティのクリストフ・ピション会長によって観客に紹介されたトゥールビヨンと、ヴァンサントのオートクチュールを身にまとったモデルは観衆を魅了した。モデルはヴァンサントの2024年春夏コレクションの黒のロングドレスにコルセットを合わせた装いで、トゥールビヨンの時を超えたエレガンスと洗練された姿を反映。その品質の継続を称える「プリ・デュ・パブリック賞」を受賞したことで、この壮大なイベントでの存在感を改めて証明することとなった。
AMWノミカタ
本社でトゥールビヨンを発表した後、イギリスのグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード、そしてアメリカのモントレー・カー・ウィークを経て再びヨーロッパに戻ってきた。
シャンティイ・アート&エレガンス・リシャール・ミルは2014年から開催されている比較的新しいイベントだが、自動車ブランドやファッションデザイナーが作品を発表する場ともなっており、なかでもクルマとオートクチュールを組み合わせたファッションショーはメインイベントのひとつであり、近年多くの人々に注目されている。
1920年代にフランスで始まったコンクール・デレガンスの伝統を受け継ぐこのイベントは、過去からの輝かしい歴史を継承し、現代においてもオートクチュール的なクルマづくりを得意とするブガッティにとって最良の発表の場となったのではないだろうか。
このイベントはアール・ド・ヴィーヴル(生活芸術)の祭典と呼ばれているが、同様のイベントは日本ではまだ少ない。クルマが文化や芸術の一部として認められていることはとても羨ましいと感じる。