ロールス・ロイスのフォルムが生み出される3つのライン
ヘンリー・ロイスの基本的なデザイン原則は、100年以上にわたってロールス・ロイス・モーター・カーズを導いてきた。120年の歴史を通じて、ロールス・ロイスはラグジュアリーの限界を押し広げ、自動車デザインにおいて新たな現実を創造してきた。
ロールス・ロイスのデザインフィロソフィーはデザイナーを自由に革新させ、ブランドの最も偉大なビジョンを創造する一方で、たとえユニークなパンテオングリルやスピリット・オブ・エクスタシーのマスコットが見えなくても、ロールス・ロイスであることが常に認識できるようにしている。
今日に至るまで3つのラインが調和することで、常に紛れもなくロールス・ロイスのフォルムが生み出されている。それはワフト・ライン(自動車のダイナミズムを強調する古典的なキャラクター・サイド・ライン)、ウエストライン(目的意識を与えるライン)、シルエット(印象的で力強く、象徴的なライン)である。ロールス・ロイスというブランドの独特の存在感を維持しながら、時代に合ったものであることを維持するというバランスを取ることは、困難でありながらも魅力的な課題となる。
AMWノミカタ
新たにロールス・ロイスのデザインディレクターに就いたドマゴイ・デュケク氏は、BMWのデザイン責任者を長年務め、これまでBMWのEVブランドであるBMW「i」や「M」モデルのデザインなどを手がけてきた。最近ではBMWのすべてのモデルに大型フロントグリルを採用し、デザインを大きく刷新したことで知られている。
前任者のアンダース・ウォーミング氏のロールス・ロイスの在籍は3年に留まった。その間にスペクターが発表され、カリナンやファントムの新型モデルが登場したが、先代モデルのコンセプトから大きく変化することはなかった印象だ。
電動化への大きな流れの中で、ロールス・ロイスはデュケク氏にBMWで行なったような大胆な変化をもたらしてくれることを期待しているのではないだろうか。デュケク氏がまたブランドの伝統を再解釈し、世間を驚かせる新たなロールス・ロイスを生み出してくれることに期待したい。