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マクラーレン「570S GT4」2台で4名の車いすドライバーが表彰台に! 青木拓磨選手が参加した英国の耐久レースは障がい者との共生が進んでいました

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TEXT: 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)  PHOTO: 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)

練習走行ではブレーキが効かずにコースアウト!

BECのレースは1日で完結する形式をとっており、午前中に練習走行と予選セッションを行い、午後に2時間の決勝レースを行っている。その67号車のスタートドライバーと予選アタックを青木選手が担当することになり、練習走行の走りだしはペアを組むコスビー選手。6周を走行後、青木選手に走行を代え、そのまま予選セッションに進むという流れであった。

練習走行は順調に進んでいったのだが、予選セッションになった際に、67号車に車両トラブルが発生し、2コーナーでコースアウトしてしまう。その原因はブレーキが効かなかったこと。BRITでは下半身不随の青木・コスビー両選手のためにハンドドライブ機構を組み込んだオリジナルのステアリングユニットで、ハンドル操作とアクセル・ブレーキ・シフト操作までができるような仕組みとなっているが、ステアリングユニットでの操作と、そのバックアップとして用意されている補助ブレーキの双方が効かなかったことでコースアウトとなったという。いったんピットに戻ったものの、予選アタックは叶わず、セッション終了となってしまう。

決勝レースまでの時間でブレーキユニットのエア抜きなどを再度行い、チームは車両の整備に集中。同時にチームミーティングが行われ、最初のスティントを青木拓磨選手が担当し、後半にコスビー選手が乗車。そのコスビー選手のターンで一度ピットインだけを行う(2時間のレースで2回のピットインが義務付けられている)という戦略で行うこととなった。

BECの予選セッションの後のコースでは、トラックシリーズやピックアップトラックのシリーズのレースが開催されており、コース上にはトラックがまき散らしたダストとトラックのタイヤラバーが多く残る状態でレースは決勝を迎えることとなった。

67号車はクラス3位でレースを終えた

恒例の2周のフォーメーションラップの後、ローリングスタート。先頭を行くのは今回唯一のGT3マシンであるNo.9 PB Racing by JMH(AUDI GT3)。これが後続を大きく引き離していく。青木選手が駆る67号車はスタートからブレーキの効きを確認しながらの走行となり、残念ながら最後尾からのレースとなった。しかしブレーキが確認できた翌周からは順位を上げ始め、確実に上を目指しての走行が続く。

1時間コンスタントに走行を続けた青木選手は予定通りにピットへ戻り、コスビー選手に車両を託す。今回、BECもマクラーレン570S GT4でのレースも初めてだったが、コスビー選手も淡々と走行を重ね、67号車もレース自体も大きなクラッシュなどもなく無事にクラス3位でレースを終えた。

チームのエースカーである68号車はポール・フリック選手がスタートドライバーを務め、アーロン・モーガン選手へとバトンをつなぎ、67号車のひとつ前のクラス2位、オーバーオール3位でフィニッシュ。さらに年間10位で2024シーズンを終えた。

このBRITのチームは、翌日に行われたブリットカー・トロフィというレースでも2台のBMWを走らせ計4名の障がい者が走行するなど、障がい者に特化したチームだが、それ以外でも普通に車いすドライバーがこの週末のレースを堪能していた。

またサーキット内には障がい者用駐車場や観戦場所が多数用意され、パドック内ではチーム関係者や観戦者などでも車いすの方を多く見かけた。それが特殊なことではないということは、そんなところからも見て取れた。日本国内でもこういったシーンがもっと普通に見られるようになってほしいものだ。

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