ランボルギーニ・ポロストリコ監修のレストアで、評価もワンランクアップ?
今回のオークション出品車であるランボルギーニ カウンタック LP400Sは、もともとヨーロッパ仕様として生産された個体とされる。
赤いボディカラーにベージュのレザーインテリアの組み合わせで仕上げられ、スイスに新車として納車。初代オーナーのもと、20年以上の長きにわたって過ごしたという。2005年には2代目の名義人となる個人オーナーが譲り受け、しばらくののち3代目オーナーに譲渡される。
長年所有していたファーストオーナーは、スイスのランボルギーニのスペシャリストに依頼して、エンジンのオーバーホールを行っていた。でもそれを除けば、この個体はほとんど修復されておらず、オリジナルのコンディションを保っていたと伝えられている。
3代目のオーナーは、10年以上にわたって約5000kmを走行。その間、ランボルギーニの正規ディーラーによって定期的に整備されていたものの、2015年にはフランスの著名コレクター、ジャン・ギカス氏がカウンタックの4番目のオーナーとなる。
ところがその6年後、このシャシーナンバー1121296は、同じRMサザビーズの欧州本社がフランスで開催した「ギカス・コレクション(Guikas Collection)」オークションに出品。その際には43万2500ユーロ、当時の日本円換算で約5550万円というハンマープライスとともに落札され、今回の出品車が新たなオーナーとなったとのことである。
高額を費やしレストアが行われた
イタリアにルーツを持ち、長年のランボルギーニ愛好家でもあるという現オーナーの家族は、長年にわたってさまざまなヒストリック・ランボルギーニを修復した実績もあり、1968年にフェルッチオ・ランボルギーニ本人によって納車されたといわれる、最初に生産された「エスパーダ」の1台を所有していると主張している。
彼はこのLP400Sを譲り受けた際、エクステリアとメカニズムに手を加えることを決心した。そして「ランボルギーニ・ポロストリコ」のアレンジにより、「トップモーターズ・サルヴィオーリ」社と、同じイタリアの職人「カロッツェリア・メスキアーリ」社に委託され、約7万1000ユーロがレストアに費やされたという。
これには、オリジナルペイント総剥離の修復と、カウンタックとしては希少で望ましい色である「タヒチ・ブルー」での再塗装が含まれていたが、そのかたわらオリジナルのベージュのインテリアはそのまま残されることになった。
今回のオークション出品に際して、RMサザビーズ北米本社の営業部門は、55万ドル~70万ドル(約8140万円〜1億360万円)という、「ポロストリコ」承認済みのLP400Sとしては順当なものと映るエスティメート(推定落札価格)を設定していた。
そして、モントレー市内の大型コンベンションセンターで挙行された競売では、ビッド(入札)が順調に伸びたようで、終わってみれば61万ドル、現在の為替レートで日本円に換算すれば約8620万円で、競売人の小槌が鳴らされることになったのである。
為替レートの違い、またユーロとUSドルの違いはあれども、3年前の「ギカス・コレクション」オークションでのハンマープライスと比較すると、ランボルギーニ・ポロストリコの関与による修復などの要素により、しかるべき評価アップがなされた証明ともいえるだろう。