サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

「ウルフ・カウンタック」を応用した「LP400S」が9000万円弱で落札! ランボルギーニ本社のポロストリコでレストアされた由緒正しい個体でした

25万7600ドル(邦貨換算約8620万円)で落札されたランボルギーニ「カウンタックLP400S」(C)Courtesy of RM Sotheby's

稀代の傑作スーパーカー、カウンタック LP400S

全世界のスーパーカーワールドにおける絶対王者的アイコン、ランボルギーニ「カウンタック」は、現況のクラシックカー/コレクターズカー・マーケットにおいても市場の動静をそのまま物語るような超人気モデルとして君臨しています。そのマーケット市況のもと、毎年8月の恒例行事となっている「モントレー・カーウィーク」でも最大規模のオークションとして、RMサザビーズ北米本社が2024年8月15~17日にモントレー市内で開いた世界最大規模のクラシックカーオークション「Monterey 2024」でも、1981年モデルの「カウンタック LP400S」が出品。鮮やかなブルーのボディは、競売会場に隣接するプレビュー会場でも注目を集めていました。

カウンタックとしてはセカンドジェネレーションにあたるモデル

1978年にデビューしたランボルギーニ 「カウンタック LP400S」は、この稀代の名作としては第2世代にあたるモデル。

かつてはカナダの石油王にしてF1チームオーナーとして名をはせたウォルター・ウルフ氏のために、ランボルギーニ社で製作されたスペシャルカー、いわゆる「ウルフ・カウンタック」で実験されたボディワークを応用したものである。

新デザインのマグネシウム製ホイールに取り付けられた、前:205/50VR15/後:345/35VR15という巨大なピレリ「P7」タイヤと、それを収めるオーバーフェンダーとフロントスポイラーで武装。さらにオプションとして、のちにカウンタックの特徴のひとつになるリアウイングを備えることも可能とされたが、その一方でカウンタックの開祖「LP400」を特徴づけていた「ペリスコピオ」と呼ばれるルーフのくぼみは廃された。

105台が製作されたうちの1台

1982年までの約4年間に、わずか237台が生産されたといわれるLP400Sながら、聞いたところによると「セリア1a(シリーズ1)」から「セリア3a」まで、さらに3つのジェネレーションに細分化されるという。このほどRMサザビーズ「Monterey 2024」オークションに出品された1981年式、シャシーナンバー「1121296」は、第2世代の「セリア2a」として105台が製作されたうちの1台とのことである。

またセリア2aは、セリア1aではOZ社製マグネシウム、あるいは「ブラーヴォ」スタイルだったアロイホイールが、同じOZ社製でもアルミ合金製とされたという。

サスペンションはLP400S セリア1aから継承された低めのセットアップ。その一方で、最終型セリア3aではサスペンションの地上高が若干高められたほか、ルーフが3cmほどアップしているとのことから、セリア2aは、カウンタックLP400Sとしては好ましい「ローボディ」のファイナルバージョンとして、コアなファンから愛されているとのことなのだ。

ランボルギーニ・ポロストリコ監修のレストアで、評価もワンランクアップ?

今回のオークション出品車であるランボルギーニ カウンタック LP400Sは、もともとヨーロッパ仕様として生産された個体とされる。

赤いボディカラーにベージュのレザーインテリアの組み合わせで仕上げられ、スイスに新車として納車。初代オーナーのもと、20年以上の長きにわたって過ごしたという。2005年には2代目の名義人となる個人オーナーが譲り受け、しばらくののち3代目オーナーに譲渡される。

長年所有していたファーストオーナーは、スイスのランボルギーニのスペシャリストに依頼して、エンジンのオーバーホールを行っていた。でもそれを除けば、この個体はほとんど修復されておらず、オリジナルのコンディションを保っていたと伝えられている。

3代目のオーナーは、10年以上にわたって約5000kmを走行。その間、ランボルギーニの正規ディーラーによって定期的に整備されていたものの、2015年にはフランスの著名コレクター、ジャン・ギカス氏がカウンタックの4番目のオーナーとなる。

ところがその6年後、このシャシーナンバー1121296は、同じRMサザビーズの欧州本社がフランスで開催した「ギカス・コレクション(Guikas Collection)」オークションに出品。その際には43万2500ユーロ、当時の日本円換算で約5550万円というハンマープライスとともに落札され、今回の出品車が新たなオーナーとなったとのことである。

高額を費やしレストアが行われた

イタリアにルーツを持ち、長年のランボルギーニ愛好家でもあるという現オーナーの家族は、長年にわたってさまざまなヒストリック・ランボルギーニを修復した実績もあり、1968年にフェルッチオ・ランボルギーニ本人によって納車されたといわれる、最初に生産された「エスパーダ」の1台を所有していると主張している。

彼はこのLP400Sを譲り受けた際、エクステリアとメカニズムに手を加えることを決心した。そして「ランボルギーニ・ポロストリコ」のアレンジにより、「トップモーターズ・サルヴィオーリ」社と、同じイタリアの職人「カロッツェリア・メスキアーリ」社に委託され、約7万1000ユーロがレストアに費やされたという。

これには、オリジナルペイント総剥離の修復と、カウンタックとしては希少で望ましい色である「タヒチ・ブルー」での再塗装が含まれていたが、そのかたわらオリジナルのベージュのインテリアはそのまま残されることになった。

今回のオークション出品に際して、RMサザビーズ北米本社の営業部門は、55万ドル~70万ドル(約8140万円〜1億360万円)という、「ポロストリコ」承認済みのLP400Sとしては順当なものと映るエスティメート(推定落札価格)を設定していた。

そして、モントレー市内の大型コンベンションセンターで挙行された競売では、ビッド(入札)が順調に伸びたようで、終わってみれば61万ドル、現在の為替レートで日本円に換算すれば約8620万円で、競売人の小槌が鳴らされることになったのである。

為替レートの違い、またユーロとUSドルの違いはあれども、3年前の「ギカス・コレクション」オークションでのハンマープライスと比較すると、ランボルギーニ・ポロストリコの関与による修復などの要素により、しかるべき評価アップがなされた証明ともいえるだろう。

モバイルバージョンを終了