ブロックパターンとは思えぬ接地感!
と、まずはオフロード走破性について語ったが、「トレッドウェア」と呼ばれる耐摩耗性向上、「タフネス」という耐久性向上など、オフロードではもちろんだが、オンロード性能やロングライフ性能も追求している。ニュー・オールテレーン・コンパウンドは、過酷なオフロード性能を発揮できるだけではなく、オンロードでは快適性を引き出してくれるものであり、サイドウォール部分までカバーしたコアガード・テクノロジーは外部からのダメージをできるだけ小さくしてくれるもの。そう、長く付き合えること、そして、安心感もしっかりと設計されている。
オンロードにおける快適性の進化は、個人的には、いちばん注目していたポイントだ。結論から言ってしまうと、これだけのブロックパターンながら、接地感がじつに豊かであり、さきほど、あれだけのオフロードパフォーマンスを見せていたタイヤだよな? と自問自答してしまうほどの性能をもっていた。もちろん、静粛性も優れており、このデザインのタイヤにしては相当に優秀だと評価できる。ただし、いわゆるロードノイズは小さく抑えられているものの、ブロック形状がもたらすパターンノイズは少々存在しており、オフロード性能もターゲットにしているタイヤだということが伝わってくる。それとて、耳障りには届いていない。
オンロードは「操る楽しさ」レベルに進化
乗り心地については、これもまた快適と表現できるものだった。むしろ、タイヤがしっかりとしている分、サスペンションの動きに明確さが出ており、安心感を高めてくれているかのような印象があった。もちろん、路面が荒れているようなシーンでの大きな入力に対しては、ゴトゴトといった硬さを伝えてくるが、そもそも、選ばれているモデルは、テストドライブが開催されたオーストラリアで多く走っているピックアップトラック。そう考えると、十二分に快適だといえよう。
ちなみに、コーナリングではそこそこのスピードで侵入しても、ハンドリングに曖昧さが出てくることはなく、グリップ力も十二分。ロールフィールも、させないのではなく、適度にロールを許しながら、コーナー後半ではしっかりとロールを戻してくる。そんなタイヤとサスペンションの一体感に、むしろ操る楽しさを感じてしまったほどだ。
ちなみに、あえて述べないできたが、このBFグッドリッチのオールテレーン T/A KO3は、すべてがLT(ライトトラック)規格となっており、乗用車用よりも、高負荷に耐えられる構造を採用している。つまり、実用性が優先されている分、とくに、乗り心地においては硬さが顔を出してしまうものなのに、それがじつに小さい。いや、それを感じとることは難しい。それを知ると、このタイヤのハイバランスぶりがさらに伝わるのではないか、と思う。また、スノードライブに対しては、スリーピークマウンテンスノーフレークマークとM+Sが刻印されており、国内における冬タイヤ規制時の走行を可能としていることもトピックだ。ただし、完全に凍結してしまった路面への対応は難しいので、そのことはお忘れなく。
このように、ハイレベルなオールマイティさを語ることができるモデルだが、もうひとつ、カスタマイズサイズから純正サイズに至るまで幅広いラインナップを取り揃えていることもアドバンテージとしている。SUVの魅力を引き出したい、オンロードでも快適に走りたい、そんなユーザーにぜひとも履いて欲しいタイヤと言えよう。