モデナデザイン社が精密CNC機械加工会社として再誕
パガーニは、1991年にオラチオ・パガーニ氏が複合材料分野の技術開発のために設立した「モデナデザイン」が生まれ変わったことを発表しました。新生モデナデザインは、自動車、航空宇宙、生物医学産業向けの精密CNC機械加工に特化した会社となります。卓越したコンポーネントを製造するために生まれ変わったパガーニの歴史的企業を紹介します。
オラチオ・パガーニ氏がコメントを発表
パガーニは、1991年にオラチオ・パガーニ氏が最先端の複合材料技術を開発するために設立したモデナデザイン社の再誕を発表した。モデナデザインを設立した背景には、彼の幼少期からの夢である「世界で最も美しいクルマを創る」という夢を原動力としていた。
「レオナルド・ダ・ヴィンチの“芸術と科学は手を取り合ってともに歩むことができる”という言葉をつねに思い出します。今日、我々はさらに速く、確実に歩みを進めるためのもうひとつの手足を得たようなものです。未来がもたらす革新の課題を克服できる自信を持っています」
とパガーニ・アウトモビリ創業者兼チーフデザイナーのオラチオ・パガーニ氏は語っている。
ユートピアに必要な700以上の部品を生産
モデナデザインは現在、主に自動車、航空宇宙、生物医学産業向けの部品製造に重点を置く精密CNC機械加工会社である。その設備、ソフトウェア、ツールは市場で入手可能な技術の最高峰であり、設計の卓越性、最高の性能、製造部品の最高精度を保証している。
モデナデザインを際立たせているのは、研究、トレーニング、技術への継続的な投資によって、人間の専門性を高めることに全力を注いでいることだ。モデナデザインの生産工程の中核をなすのは、クラフトマンシップに基づいた原材料からの機械加工という崇高な技術である。
モデナデザイン社の復活は、パガーニ・アウトモビリがアルミニウム、チタン、特殊金属部品の生産において、デザイン、エンジニアリングから最新鋭の設備による製造に至るまで、あらゆる面で完全なコントロールを維持するために極めて重要である。現在、モデナデザイン社はパガーニ「ユートピア」のために700以上の部品を生産しており、卓越した品質を保証している。
最先端技術と人間のプロフェッショナリズムの価値
「20年以上もの間、私たちは原材料からの機械加工技術を用いて部品を製造してきました。アルマイトや研磨のような工程では、機械的な繰り返しは許されません。どんなに高度な機械であっても、細部をとらえる職人の訓練された目に取って代わることはできないのです。
私たちは、卓越性とは職人技の賜物であり、各部品は手作業で仕上げられ、長年の訓練と経験によって磨かれた並外れた器用さと専門知識の産物であると固く信じています」
とモデナデザインの最高業務責任者、アントニオ・ジェラルディ氏は語る。
この施設には、原材料を成形するための高速CNCフライス盤、自律型マシニングセンター、高精度立型CNCフライス盤など、さまざまな素材を加工するための専用機械が備えられている。
また、複合加工機や独自の仕上げを行うためのシステムもあり、目の肥えた顧客の要求にも応えている。高度なロボットシステムによって管理された工作機械は、週7日、1日20時間以上の連続稼働を保証している。
AMWノミカタ
「CNC」とはコンピューター・ニューメリカル・コントロールの略で、工作機械の移動方向や速度などをあらかじめプログラミングし、高い精度で工作の数値制御を行う技術ということである。ユートピアに使われる700点の部品を製造すると言うが、ここまで多くの部品を自社ともいえる施設で製造する例は珍しいのではないだろうか。
通常部品を外注する企業にその技術力がなかったのか、また高度な技術力を自社で備えることで技術流出を防ぎたいのかその真意はわからないが、パガーニの技術への徹底した追求の姿勢を感じることができる。また、ほかの最先端産業の部品製造を行なっていることも自動車製造技術に大きな影響を与えるであろう。
ユートピアではそのパフォーマンスを実現するためにカーボン・チタン(HP62-G2)やカーボトリアックス(HP62)、航空機グレードのアルミニウム合金などの珍しい素材を使用している。またノブ、ダイヤル、ボタン、レバーなどはアナログ技術の追求により美しさと機能性を高めている。
ダ・ヴィンチの言葉のように美と科学が融合する場所がこのモデナデザインであり、美と科学を追求するパガーニがパガーニであり続けるためになくてはならない存在なのだと感じる。
【動画】美と科学が融合するモデナデザインの世界観を観る