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昭和の「俺たち」が夢を見ていた時代…ホンダ「シビック」の「RS」が「レーシング・スポーツ」ではなくて「ロード・セーリング」だったのもロマンです【カタログは語る】

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)

室内にはスポーティな意匠が施されていた

そういえばこの初代シビックRSでは、内外観のさり気ない専用装備もベース車とはひと味違うセンスを際立たせていた。外観ではブラック塗装のホイール(4.5インチリム)とホイールリング、キャンディレッドのセンターホイールキャップ、155SR13ラジアルタイヤ、砲弾型フェンダーミラーなどがそう。2個の後退灯、バンパーに備えたオーバーライダー、それとフロントグリルに装着されたRSの赤バッジももちろんRSの証だった。

室内ではスポーティな意匠が施されたバケットタイプのフロントシートに目がいくほか、ステアリングホイール、シフトノブ(当時のカタログでの呼称は「チェンジレバーノブ」)には純木製が奢られた。A/B/Cペダルの横にはフットレストも備えられた。カタログに載せられたインパネの大きな切り抜き写真は、当時、このクルマのオーナーになることを夢見た多くのマニアが、自分がこのRSを駆るシーンを思い描きながら、きっと穴があくほど眺めていたに違いない。なおボディタイプは、上ヒンジで開くトランクリッド式の2ドアとハッチバック付きの3ドアがあり、前述のとおり2ドアのほうが車重は10kg軽かった。

なおそんな初代シビックRSだったが、登場翌年の1975年8月、当時の昭和51年排出ガス規制適合の新CVCCエンジン(1200cc/1500cc)の発売により、わずか10カ月という短命のうちにカタログから消えた。入れ替わりにこの時に登場したのが、パレルモグリーンのクルマのカタログ写真をご紹介している1500cc・3ドアの「SLR」だった。

基本的に1200時代のRSの出で立ちが引き継がれ、内装もシート表皮のメイン部分がチェック柄になるなどしていており、エンジンスペックも最高出力75ps/5500rpm、最大トルク11.1kgm/3000rpmと記されている。ただし車重は765kgと3ドア同士でも1200時代からは60kg増えたクルマとなっていた。

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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